30代でアナウンサーを辞め、弁護士という新しいフィールドに挑戦した菊間千乃さん。自らの手でキャリアを選択してきた菊間さんが、心に響いた言葉や感じた事柄について語る連載。1年続いた本連載も今回で最終回となります。

まずは自分の幸せを考えることから

 この連載では、「言葉」を切り口にいろいろ書かせていただきましたが、読み返してみると、周囲から言われた言葉も、それを自分がどう受け止めるかという話で、結局は自分とのさまざまな対話についての連載だったなぁと思います。

 自分を起点に物事を考えるということは、わがままなことではないと思います。とかく自分は後回し、自分より子ども、自分より両親、自分より周囲の人、日本ではそれが美徳のように語られますが、それが行き過ぎると、「私はこんなにやってあげているのに」「私はこんなに我慢しているのに、あの人ばっかり」と、自分の行為を誰かに評価してほしい、分かってほしいという方向に向かってしまい、気づいてくれない他人に対して、不快な感情を持つことになってしまうのではないでしょうか。

 だったらまずは、自分の幸せを考えることから始めてもいいのではないかと思います。自分が満たされれば、心に余裕ができて、周囲の人にも自然と優しく対応することができて、それが結果的に自分が大切にされることにつながるのではないかと。私も楽しく生きさせてもらっているから、あなたもどうぞ、と互いが互いを認め合える関係性が築けていければ、もっと生きやすくなるのになと思います。

弁護士の道を選んだのも「自分の人生を楽しく生きていきたい」と思ったから
弁護士の道を選んだのも「自分の人生を楽しく生きていきたい」と思ったから