30代でアナウンサーを辞め、弁護士という新しいフィールドに挑戦した菊間千乃さん。自らの手でキャリアを選択してきた菊間さんが、心に響いた言葉や刺さった事柄について語ります。今回のテーマは「ダイバーシティ」です。

私が社外取締役に選ばれた理由は?

 「ダイバーシティって何だろう?」と最近よく考えています。

 2020年に入ってありがたいことに3社から社外取締役のオファーをいただきました。18年に就任したコーセーに加え、計4社の社外取締役を務めることになります。法律家の視点で取締役会などには参加しますが、各業界の動向やそれぞれの企業のビジネスモデルや文化などの理解が前提となる仕事ですから、やらなければならないことは無尽蔵で、プレッシャーもそれなりに感じています。

 弁護士として社外取締役に選任される方はキャリアの長いベテランの方が多い印象があります。その中で、弁護士歴10年に満たない私になぜ声をかけていただけたのかといえば、私が「女性」だからでしょう。もう一つは、アナウンサーから弁護士にキャリアチェンジをしたことが「自分の意思でキャリアを形成している」と見えるからかもしれません。でもやはり第一には、取締役の女性比率を上げたいという企業側の事情が背景にあるように感じます。

「元アナウンサー」「弁護士」「女性」という「持っているアイテム」で判断されるのではなく「この人と仕事したい」と思われたいんです
「元アナウンサー」「弁護士」「女性」という「持っているアイテム」で判断されるのではなく「この人と仕事したい」と思われたいんです

 社外取締役にふさわしい女性は世の中にたくさんいるはず。でも、それがなかなか企業の担当者には見えにくいのかなと思います。最近では官庁や日本弁護士連合会(日弁連)でも女性取締役の候補者リストを作成するようになりましたが、書類に書かれた経歴や1、2回の面談だけで判断するのは難しい。私の場合は、たまたま企業のトップと対談する機会があり、そこから交流が深まってお声がけいただきました。女性候補者のリストを作るところまでは進みましたが、双方が交流する場所や機会をもっと増やす必要があると思います。