女性だけが「子どもがいる」「いない」で区別される

 働く場で女性はまだまだマイノリティーです。ですから本来は結束した方がいいのに、女性同士が対立するような構図が作られやすい。例えば「子どもがいる人」「子どもがいない人」と分類することもその一つ。プロフィル欄に子どもの有無を書かれるのも女性だけです。

  以前、ある審議会の委員候補にお声かけいただいたとき、最終的に「子どもがいる女性がいい」という理由で断られたことがあります。男性を選ぶとき、「子どもがいること」を条件にすることってありますか? そのときは、どのアイテムを持っている女性を配置することがアピールにつながるか――という観点でしか見られていない気がしました。

社外取締役として果たしたい2つの使命

 2年前、女性1人目の社外取締役として就任したコーセーでは、2020年に女性の社外取締役は私を含めて3人になりました。でも、他の3社で社外取締役の女性は私だけ。そこでの私の役割は「KYでいること」だと考えています。

 取締役会で何も発言しなければ波風は立ちません。でも発言しなければ何も変わらない。『半沢直樹』のドラマで描かれているように、男性社会は空気を読む社会。あうんの呼吸ですよね。そこを分かっていて、あえて聞くことはとても大事だと思っています。社内取締役や執行役員が「言いたくても言えなかったこと」を、社外の人間だからこそ言葉にできるということはあるでしょうし、社内の常識が社外の非常識ということもあります。外部の視点をいれることで、そのズレを修正していく、そのために社外取締役の果たす役割は大きいですよね。

 そしてもう一つは、社員の女性から執行役員や取締役を育てていくこと。今は、とにかく女性を1人でもボード(取締役会)に入れることが大事なのは分かりますが、「頭数をそろえればそれでいいのか」という問題も含んでいます。「投資家からどう評価されるか」だけを気にして、取締役会の女性比率を増やすことが大事なことではないと思います。