30代でアナウンサーを辞め、弁護士という新しいフィールドに挑戦した菊間千乃さん。自らの手でキャリアを選択してきた菊間さんが、自身の体験や感じた事柄について語ります。今回のテーマは「上下関係」です。

姐さんキャラなのに年下からいじられる

 長く会社に勤めていると、人間関係が固定されてくるし、自分がグループの年長者になることも多くなりますよね。でも年齢や経験を積んだから、なんでもできるわけではない。「年長者」「リーダー」として振る舞おうとすることが、かえって自分を縛ってしまうことがあると思います。

 私はよく「姐(ねえ)さんキャラ」と言われます。「姉」ではなく「姐」なんですって。司法修習生のときも一回りくらい年下の同期から「姐さん」と呼ばれ、今も年が一つしか違わない同年代の友人からも「姐さん」と呼ばれます。でも、怖がられているかというとそういうわけでもなさそうで。みんな私のことをいじってくる。「姐さんキャラでいじられキャラって、あまりいないですよ」と言われます。

 多分、年下の人に対しても、隙があるんでしょうね。できないことは隠さないし、間違えたら謝るし、分からないことは「教えて」と言う。だから姐さんと呼ばれても関係は対等(と私は思っています)。経験値として知っていることは教えるけれど、年下の人からでも教えてもらうことはたくさんあると思っているので、私から「○○について教えて」とお願いすることもよくあります。

「姐さんキャラだと言われますが、みんな私をいじってくるんですよね」
「姐さんキャラだと言われますが、みんな私をいじってくるんですよね」

 ただ私も昔はこうではなかったです。アナウンサーの時は、むしろ先輩から、「キクマは隙がなさ過ぎてつまらない」と言われたくらいです。そしてその指摘がずーっと心の片隅に残っていました。振り返ってみると、自分に自信がないからこそ、人から指摘されたくなくて虚勢を張って、ガードをして、隙を見せないようにしてしまっていたのかなと思います。今は、特に守るものもないし、できない自分も丸ごと受け入れているので、人からの指摘に素直に耳を傾けられ、自分の弱いところもさらけ出せるようになり、いじられキャラも定着してきたのかなと思います。

 心持ちが変わったきっかけは、社会人10年目で通いだしたロースクールでした。