30%を超えれば、もう少数派ではなくなる

―― 女性社員の意識は変わりましたか?

酒井 そうですね。以前は女性の課長代理の数も少なかったので、「あの人は別格」と特別視している部分もありましたが、今は女性も課長代理を目指すのは当たり前という空気が醸成されてきたと思います。さらに課長、部長になる女性も増えて、自分のスキルを磨く中で昇格していけるんだと皆の意識が変わってきました。

 日々の業務に追われていると、長期のキャリアプランを考える時間も少なくなりますが、私自身も研修を受講することで、先のことを考え、課題が見えて意識が変わったという経験をしています。

 指導的立場における女性比率30%を達成すること自体が目標ではなく、30%を超えれば課長代理以上の女性が少数派でなくなり、誰もが研修を受けて次の役職にチャレンジするという風土が育ちます。

 経営トップが女性活躍にコミットしていて、管理職も女性社員の育成に注力し、女性社員もそれに応えて研修や実務で自分の課題に向き合い昇格を目指すという好循環が生まれているように感じます。

 ライフステージや家庭の事情で研修を受けてもすぐに昇格に挑戦するのは難しい場合もありますが、産休・育休で研修を中断しても、復帰後に続きから研修を再開することもできます。上司とキャリアプランを綿密に話し合っているからこそ、フォローできているのではないでしょうか。

「女性も管理職を目指すのは当たり前という空気ができてきました」
「女性も管理職を目指すのは当たり前という空気ができてきました」

続きの記事はこちら
部下を育てることが管理職の仕事 後輩へつなぐバトン

取材・文/小島潤子(日経ARIA編集部) 写真/鈴木愛子