トップのコミットメントで全社に意識付け

―― 具体的なプログラムの内容について教えてください。

酒井 2つのKPIと重要6領域を定めて、さまざまな施策を実施しています。KPIの1つ目は、20年末までに指導的立場(※1)に占める女性社員割合を30%以上にすること。これは19年に1年前倒しで達成しました。2つ目は、25年末までにライン長(※2)ポストに占める女性社員の割合を30%以上にすること、そのマイルストンとして20年末までに20%とすることです。これは19年末で17.1%、25年までに加速が必要です。

 具体的な取り組みとして、まず経営トップのコミットメントの下、社長自らが委員長を務めるダイバーシティ推進委員会を設置。委員は16人(男性9人、女性7人)の役員で構成されています。社長が全国の社員とダイバーシティや働き方について直接意見交換するタウンホールミーティングも積極的に行っています。

 また、2年に1度Aflac Global Diversity Conferenceを開催し、日米の経営陣が、社員にダイバーシティ推進や働き方改革推進の意義を伝え、今後どうあるべきかを社員がディスカッションする機会を設けています。2020年は11月13日に開催。米国からCEOがビデオメッセージで参加し、公募で集まった約550人の社員がオンラインで参加しました。

 また、管理職への意識付けとして、無意識のバイアス研修や、女性社員育成研修を行うと共に、女性部下と定期的に面談しながら一人ひとりのキャリア形成を支援するための育成計画を策定しています。

※1 課長代理以上の役職、※2 直属の部下を持つ管理職

アフラック ダイバーシティ推進部 課長代理の酒井理紗さん
アフラック ダイバーシティ推進部 課長代理の酒井理紗さん

―― 働きやすい環境づくりの面はいかがですか?

酒井 育児とキャリアアップの両立のための施策も、働き方改革と併せて行っています。分身ロボットOriHimeを使って遠隔でも研修に参加できるようにしたり、男性の育児参画を推進するために、男性育休も目標を設定して取得を推進しています。

 2018年には、地方に在住したまま本社業務を行う「リモートキャリア」を開始しました。もともとは本社勤務の社員が家庭の事情で地方に転居することになったのがきっかけです。地方の支社は規模が小さいため空きがなければ転勤することが難しく、退職するしかなくなってしまいます。そこで、地方に在住したまま本社業務をリモートで行う仕組みを作りました。

 これを進化させ、キャリア形成支援の一環として、地方に住む社員を対象に本社業務の公募を行ったところ、多数の応募がありました。20年12月現在、9人の社員がパイロット運用としてリモートキャリアの利用を開始しています。21年1月から制度として本格的に運用を開始、新しい働き方にチャレンジする社員がさらに増える予定です。居住地を問わずキャリアアップを目指せるので、キャリアの選択肢が広がりました。