2030年までに、指導的地位に女性が占める割合を少なくても30%程度にすることを目標としている政府。全体としてはまだまだ低い水準ではあるものの、女性管理職を増やす取り組みや、ARIA世代の女性が長期的なキャリアプランを描けるような支援を行う企業も増えています。そこで、女性管理職研修をはじめ、女性の活躍推進を積極的に行っている企業を取材し、各企業の取り組みを紹介します。

 第10回は、日本で初めて「がん保険」を提供した保険会社、アフラックです。創業時から社員の女性比率は高く、業界初の女性役員を輩出するなど、女性活躍では業界をリードしてきました。さらに、変化する社会課題に対応する多様性ある組織を目指し、2014年に新たに女性活躍推進プログラムを策定。一層の取り組みを進めています。

 上編では、アフラック ダイバーシティ推進部 課長代理の酒井理紗さんに、全社を挙げての女性活躍推進の取り組みについて聞きました。

女性活躍先進企業のアフラックがあらためて女性活躍を重視する理由

―― アフラックが女性活躍推進の取り組みを加速させた経緯について教えてください。

酒井理紗さん(以下、敬称略) はい、アフラックは、1974 年の創業以来、時代とともに変化する社会的課題に対して、独自の資源や専門性を生かして社会的課題を解決することにより、社会と共有できる価値を創造する CSV 経営を実践しています。

 2024年に創業50周年を迎えるに当たって、社員一人ひとりが、変化を先取りしながら新たな価値を創造していく、「イノベーション企業文化の醸成」に取り組んでいます。そのための具体的な手段として、女性の活躍推進をはじめとするダイバーシティ推進と、働き方改革である「アフラック Work SMART 」に取り組んできました。

 実は、創業当時のメンバーは16人のうち9人が女性、97年には生命保険業界で最も早く女性役員を輩出しましたし、98年には女性支社長が2人誕生するというように、役職や評価に男女差を設けない風土で、女性活躍において業界をリードしていました。

 ところが、業界全体で女性活躍が進み、気づくと女性管理職比率で業界平均と大きな差がない状態になっていたのです。さらに積極的な女性活躍の推進が必要だと判断し、2014年に女性活躍推進プログラムを策定しました。