2020年までに、指導的地位で女性が占める割合を少なくとも30%程度にすることを目標としている政府。女性管理職を増やす取り組みや、ARIA世代の女性が長期的なキャリアプランを描けるような支援を行う企業も増えています。そこで、女性管理職研修をはじめ、女性の活躍推進を積極的に行っている企業を取材し、各企業の取り組みを紹介します。

(上)自分の強み・弱みを知り最強のチームを作る ←今回はココ
(下)強みを言語化、管理職としての自信に

 第4回はリクルートです。1960年の創業時より「個の尊重」を大切にしており、現在のグループ従業員の平均年齢は30代中盤、課長職以上の女性管理職比率は約25%と、年齢や性別に限らず活躍の場が与えられています。上編では、リクルート人事統括室ダイバーシティ推進部部長の塚本尚子さんに、3年前から導入した女性管理職向けの研修について聞きました。

自分の強みを見つけて、マネジメントスタイルを決める

―― 女性管理職をターゲットにした研修を始めた背景を教えてください。

塚本尚子さん(以下、敬称略) リクルートでは創業時より60年かけて個の尊重について取り組んできました。あるとき「自分はチームにおいて成果を発揮できているか」を社員に聞いたところ、男性に比べて女性の数値が低かったことが、女性管理職向けに「マネジメントスタイル構築研修」を始めたきっかけです。

 男女で周囲評価が違うのかを調べたところ、そこは変わりませんでした。つまり女性の方が自己肯定感が低く、かつ年次で見ると管理職歴2年目くらいまでが数値として低く表れていたのです。

 さらに女性管理職にインタビューをすると、マネジメントに迷っている人は、仕事を任されたもののどのように進めていくか決めていない、ということが分かりました。自分のマネジメントスタイルが定まらないままだと、失敗も成功も曖昧に捉えてしまうし、自分が貢献しているのか、していないのかもはっきりしません。

 そこで、自分の強みを見つけて、どんなマネジメントスタイルで進めていくのかを仮でもいいから決めてもらうことが大事で、それが、成功、失敗をマネジメントに関する「学び」に変えていくことになり、自己肯定感につながると感じました。

 例えば、「私はメンバー一人ひとりをアトラクトする(引き付ける)ことで、絶対このチームを強くする」と仮決めして1年やってみる。実際にやってみて違うと思ったら、マネジメントスタイルを変容してもいい。マネジメントスタイルは、失敗したり成功したりしながらどんどん磨いていくもの。自分の強みを見つけてこれでやっていこう、とまず決めて第一歩を踏み出しましょう、というのが「マネジメントスタイル構築研修」です。

「管理職は自分のマネジメントの強みを見つけて、どんなマネジメントスタイルで進めていくのかを仮でもいいから決めてもらうことが大事で、それが、成功、失敗をマネジメントに関する『学び』に変えていくことになり、自己肯定感につながると感じました」
「管理職は自分のマネジメントの強みを見つけて、どんなマネジメントスタイルで進めていくのかを仮でもいいから決めてもらうことが大事で、それが、成功、失敗をマネジメントに関する『学び』に変えていくことになり、自己肯定感につながると感じました」