2030年までに、指導的地位に女性が占める割合を少なくても30%程度にすることを目標としている政府。全体としてはまだまだ低い水準ではあるものの、女性管理職を増やす取り組みや、ARIA世代の女性が長期的なキャリアプランを描けるような支援を行う企業も増えています。そこで、女性管理職研修をはじめ、女性の活躍推進を積極的に行っている企業を取材し、各企業の取り組みを紹介します。

 第9回は、コンサルティングから、システム開発、ITインフラ構築など、ビジネスに必要なすべてのITサービスをフルラインアップで提供しているSCSKです。女性がいきいきと活躍する企業を目指して、2012年に女性役員および管理職を100人にするという目標を設定し、各世代の女性社員が抱える課題に応じた研修プログラムを実施するなど、キャリア開発支援を進めています。

 上編では、SCSK人事・総務グループ人事部D&I推進課課長の酒井裕美さんに、女性活躍推進の取り組みについて聞きました。

管理職100人を目標に女性活躍推進プログラムがスタート

―― SCSKの女性活躍推進の取り組みを始めた経緯について教えてください。

酒井裕美さん(以下、敬称略) 2012年にダイバーシティ推進課(現D&I推進課)を設置し、女性役員および管理職を100人にするという目標を設定しました。実際の研修プログラムが動きだしたのは2013年からになります。

 当時は、組織を率いる立場の管理職の女性がとても少なく、全体の2%程度しかいませんでした。

 けれど、ちょうど女性が社会で活躍し始めた時期で、当社としてもせっかく育成した女性をどうしてリーダーという立場で活躍させられないのか、ということに、当時の経営トップが課題意識を強く持っていました。

 もともと仕事と育児の両立支援の取り組みは2005年ごろより力を入れていて、その成果もだいたい見えてきており、出産や育児休業を経ても女性の就業継続はほぼ100%。採用した女性がどんどん育っていき、次のステップを会社として後押ししていかなければいけないというタイミングでもありました。

 そこで、セカンドステップとして、定着した女性のさらなる成長をサポートし、性別に関係なく女性も管理職として活躍している会社に向けて取り組もうということになりました。当時、女性管理職は13人しかいない状況でしたが、目標は高く持とう、ということで100人という目標設定をして取り組みが始まりました。

―― 当時、女性管理職が少なかった要因は何だったのでしょうか?

酒井 1つは長時間労働だったと思います。休みが取りづらいとか、残業が多いだけでなく、そもそも育児と両立している女性は保育園のお迎えがあるから早く帰らないといけないことが多いのですが、時間の融通を利かせる働き方ができないと、なかなか他の管理職と同じようにパフォーマンスを発揮するというのは難しい状況でした。

 そこで、プログラムの開始と同じタイミングで働き方改革の取り組みを始めたこともあり、結果的に女性活躍推進と働き方改革を両輪でやってきたことが、成果につながったと思います。