2020年までに、指導的地位に女性が占める割合を少なくとも30%程度にすることを目標としている政府。全体としてはまだまだ低い水準ではあるものの、女性管理職を増やす取り組みや、ARIA世代の女性が長期的なキャリアプランを描けるような支援を行う企業も増えています。そこで、女性管理職研修をはじめ、女性の活躍推進を積極的に行っている企業を取材し、各企業の取り組みを紹介します。

 第2回は、国内社員は約2万2000人、全世界では約2万9000人が働くJTBです。年間で1000本ほどの研修を行っており、管理職を対象にした新たな研修を導入したところです。上編では、人財開発チームチームマネージャーの鈴木良照さんに、管理職研修を始めとする取り組みや今後の人材育成について聞きました。

年間約1000本、人財育成研修を実施

―― JTBの人材育成について教えてください。

鈴木良照さん(以下、敬称略) JTBグループは、社員を貴重な財産と捉え「人財」と表現しており、かねてより人財育成には力を入れていて、集合研修を中心に幅広い教育を行っていました。もともとはJTB能力開発というグループ会社が社員教育を行っていたのですが、社員は採用から育成、評価・活躍まで三位一体でやっていかなければならないという議論があり、2013年より人事部の中にグループ横断型教育研修プラットフォーム「JTBユニバーシティ運営事業局」が置かれるようになりました。

 さらに2018年グループ会社の統合があり、ダイバーシティと働き方改革について全社的に取り組む人財開発チームが誕生しました。2017年に立ち上がったJTBユニバーシティグローバルという、海外のプロパー社員に研修を行うセクションも人財開発チームに統合し、今に至っています。

 人財育成チームは45人体制で、そのうちの23人は集合研修を中心に社員教育をする専任講師です。

 JTBでは、入社してから年次別や事業部別にさまざまな研修があり、年間で1000本ほどの研修を行っています。1年間の稼働日が200日とすると、毎日5本は行っている計算で、1年間で研修を受ける人数は延べ1万5000人ほど。自前で策定した研修が中心ですが、中には外部の研修会社に委託しているものもあります。

「毎年のように研修内容を見直しています」と話す人財開発チームチームマネージャーの鈴木良照さん

管理職が多様な価値観や視点を受容できるように

―― 管理職をターゲットにした研修にはどのようなものがあるのでしょうか。

鈴木 管理職は店長や課長以上を指し、階層別の研修が中心になっています。マネジャーになったときなど、新しくポストに就いたタイミングで研修を受けてもらうことが多いです。裏返せば、課長を2~3年やっているけれど、さらに新しいマネジメントスキルを身に付けようという研修が今まではほとんどありませんでした。

 その層の強化の必要性を感じ、今年から新たに始まったのが、「『良い対立』をマネジメントし多様性を組織の強みに変えるコミュニケーション研修」(以下、マネジメント・コミュニケーション研修)です。

 今は会社を取り巻く環境が大きく変わっています。既存のビジネスモデルでは立ち行かなくなったり、競合相手もOTA(オンライン・トラベル・エージェント)や民泊など多岐にわたったりするようになりました。今まで通用していたモデルや考え方が全く通用せず、これまでと同じようなマネジメントスタイルでは時代の波を乗り越えていけない、という危機感がありました。