多様な価値観や視点を生かして、変化に対応できる組織力を高めていくことが必要になっていく。そのためには、経営戦略としてダイバーシティや多様性が不可欠です。それを実際に誰が推進していくかというと、間違いなく社員であり、意思決定するマネジャークラスが重要な役割を担っていく。逆にその層が画一的な考え方から脱却していかないと、会社全体が大きく変わっていきません。

 「こういう視点を持ったらどうか」とか「こういうお客様もいるよね」と、とにかくいろいろなアイデアが必要です。価値観や視点、アイデアをバラエティー豊かにできるか。さらに、それぞれが持っているものをちゃんと受容して生かしていけるか、ということが大切だと感じています。

自由闊達な対話と健全な対立でイノベーション

―― 「良い対立」について考えるマネジメント・コミュニケーション研修とは、どのような研修なのですか?

鈴木 ダイバーシティを基盤とした組織風土を形成するために、自由闊達な対話と健全な対立を生み、イノベーションを創出するのが目的です。今までは牽引型のリーダーシップが求められてきましたが、これからは社員一人ひとりがそれぞれの場面場面で当事者意識とリーダーシップを発揮していって、スピーディーに解決をしていく共創型リーダーシップが必要です。マネジャーは言ってみれば羊飼いのように、後ろから方向性を定めてグループをまとめて1つの方向に動かしていくことが求められていきます。

 今までも社員一人ひとりさまざまな価値観や考え方があったと思いますが、牽引型のリーダーの下では、堂々と主張しにくかった場合があると思います。それではこれからの時代に立ち向かっていけません。むしろ個々の思いや考えを外に出してもらい、ぶつけることで摩擦を生み、新しいアイデアやイノベーションが生まれる、健全な対立を生む環境を作るのも、マネジャーの仕事です。

 「対立」というと言葉は強いですが、「こういうことをやっていこう」というときに、「なぜやるのですか、こうではダメですか」といったことが言えるかどうか。海外では当たり前なのですが、日本の企業ではなかなか少ないのが現状です。

 そこで、今回初めてマネジメント・コミュニケーション研修を開催しました。管理職を対象に希望者を20人ほど集め、丸2日間の研修を行いました。

 1日目は、ダイバーシティ&インクルージョン、つまり多様性を理解し、他者を受容することの必要性について理解してもらいます。その中で、アンコンシャス・バイアスと呼ばれる無意識の偏見について学びます。無意識の偏見には、例えば「男性は車の運転が上手」「育休明けの女性には責任ある仕事を任せられない」といったことがありますよね。偏見が存在すること自体が悪いのではなく、無意識の偏見があることをマネジャーとして認識しながらどう対応していくかを学びます。

「偏見が存在すること自体が悪いのではなく、無意識の偏見があることをマネジャーとして認識しながらどう対応していくかを学びます」
「偏見が存在すること自体が悪いのではなく、無意識の偏見があることをマネジャーとして認識しながらどう対応していくかを学びます」