2020年までに、指導的地位に女性が占める割合を少なくとも30%程度にすることを目標としている政府。全体としてはまだまだ低い水準ではあるものの、女性管理職を増やす取り組みや、ARIA世代の女性が長期的なキャリアプランを描けるような支援を行う企業も増えています。そこで、女性管理職研修をはじめ、女性の活躍推進を積極的に行っている企業を取材し、各企業の取り組みを紹介します。

(上)オリックス 女性管理職に指名制メンタリング制度 ←今回はココ
(下)管理職メンターの効果 もらった言葉は自分の部下へ贈る

 第1回は、国内社員の4割を女性が占めるオリックスです。現在の女性管理職比率は約24%、女性の活躍推進のための様々な取り組みを行っています。「上」では、グループ人事部人財開発チームの佐々木春香さんに、メンタリングプログラムをはじめとする取り組みについて聞きました。

2010年から始まったメンタリング、117組が参加

―― オリックスでは、10年近く前から、女性管理職を対象にしたメンタリングプログラムを行っているそうですね。

佐々木春香さん(以下、敬称略) 2010年3月から、経験豊かな役員や部長をメンターとし、課長クラスの女性社員が仕事やキャリアについて定期的に相談するメンタリングプログラムを導入しています。

 女性活躍推進がうたわれ始めた2007年に、オリックスでもダイバーシティの専任担当が置かれました。メンタリングプログラムが始まったきっかけは、人事部に異動をしてきた課長クラスの女性が「自分自身がメンタリングをやりたいから導入してほしい」と提案したから。メンタリングの認知度も低い状況でしたが、彼女の思いが強く、5人ほど参加者を集めて行ったのが第1回です。

 今まで不定期に4回実施し、計117組が参加しています。今期もちょうど2019年の7月から始めたばかりで、34組が参加するなど、10年前に比べると希望者も増えています。

グループ人事部人財開発チームの佐々木春香さん
グループ人事部人財開発チームの佐々木春香さん

希望者のみ参加、メンティ自身がメンターを指名

―― メンタリングプログラムの狙いを教えてください。

佐々木 始まった当時は、そもそも長く仕事を続ける女性も多くなかったこともあり、女性管理職の比率も低く、今よりもずっとマイノリティーな存在でした。そのため男性は独自のネットワークを築いていましたが女性はなかなかつながりを広げるチャンスがなく、女性管理職の味方を増やしてサポートを行い、ネットワークの強化をすることと、日頃は業務上でしか接する機会が少ない一段上の部長の視座を感じてもらうことが目的でした。