メンターは特に評価されるわけではなく、完全にボランティア。強制しているわけではないのですが、今までメンターの引き受けをお願いして断られたことはありません。「あなたにメンターをやってほしいという社員がいます」とお伝えすると、皆さん大変快くお引き受けをしてくださっています。このプログラムはメンターの協力無しには成り立ちませんので、大変感謝しています。

 メンタリングプログラムを受けたことで、劇的に変わるというわけではないけれど、何か背中を押してもらえるということがあるようです。

 部長の仕事はなかなか見えない部分があったり、近すぎて分からない部分もあったりするので、メンターと話をすることで、将来部下を持ちマネジメントをする立場になったときの参考にもなります。

社会人折り返しの45歳からのキャリアチェンジを応援

―― メンタリングプログラム以外に、ARIA世代に向けて行っている施策はありますか?

佐々木 ユニークな試みでいうと、「45歳からのキャリアチャレンジ制度」が2018年新設されました。オリックスグループの国内主要9社において、45歳以上の部長層以下の社員が、自ら希望する部門と直接面談を行い、所属異動を実現できるフリーエージェント制度です。

 もともと新入社員を除く全社員を対象にしたキャリアチャレンジ制度はあるのですが、どうしても20代、30代のほうが異動しやすいという傾向があります。

 この制度では、過去に所属していた部署への応募も可能にしています。これまで培った自らの強みや経験を生かし、新たな分野への挑戦や持っているスキルを能動的に発揮していただくためです。現在、オリックスの定年は65歳。社会人としての折り返し地点に差し掛かる45歳に、残り20年のキャリアを見つめ直すきっかけ作りを行っています。

 昨年度は33人が応募、14人合格し、実際に11人異動しました。自分の強みや得意分野を活かし、会社から提供されるのではなく、自分でキャリアを選択できる制度になっています。

 下編では、過去にメンタリングプログラムを受け、現在はマネジメント職としてチームをまとめている女性社員に話を聞きます。

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管理職メンターの効果 もらった言葉は自分の部下へ贈る

取材・文/平野友紀子 写真/鈴木愛子