業務の進め方や人間関係など相談しやすく

―― メンタリングでは、どのような相談が多いのでしょうか。

佐々木 自分の周辺業務の進め方から後輩育成まで、多岐に渡るようです。例えば、「私はこれをやりたいのに誰も賛成してくれないのはなぜですか」とメンターに聞いたときに、「『自分のやる気も大事だけど、周囲への事前の根回しや周りがどう思っているのかにも意識を向けるのが上手く進めるコツ』と客観的にアドバイスしてくれてよかった」という話も聞きました。

 業務の相談の場合、直属の上司では、メンタリングではなく指示になってしまいます。人間関係の相談も、全く知らない人ならば「部署にこういう人がいて悩んでいて……」ということでも話しやすいようです。

 初めは、どんな質問をすればいいのか分からなくても、経験豊富なメンターと話しているうちに質問が増えていくようです。なかには、メンターが毎回お題を出して、それに答えながら話していく……といった場合もあり、進め方にはメンターのカラーが表れています。

 課長クラスになってくると、これまで積んできたキャリアがあり、思い切ったキャリアチェンジがしにくい世代にもなってくるので、全然違う部署のことを知ってもらう機会にもなっています。実際、メンタリングプログラムに参加したことがきっかけで、メンターの仕事に興味を持ち、異動が実現して頑張っている方もいます。

メンターへの効果も高い。ネットワークづくりにも

佐々木 長くメンタリングプログラムを続けている中で、メンティだけでなくメンターへの効果も高いと感じています。部長以上になると、なかなか直属の部下以外でその年代の女性と真面目に話す機会がありません。女性が悩んでいることや気にしていることが分かり、チームづくりの参考になるようです。第1回の顔合わせの後や最後には懇親会を開催しており、メンターの部長同士のつながりや、自身のメンター・メンティ以外との交流など、タテヨコナナメのネットワークづくりにも役に立っています。