2030年までに、指導的地位に女性が占める割合を少なくとも30%程度にすることを目標としている政府。全体としてはまだまだ低い水準ではあるものの、女性管理職を増やす取り組みや、ARIA世代の女性が長期的なキャリアプランを描けるような支援を行う企業も増えています。そこで、女性管理職研修をはじめ、女性の活躍推進を積極的に行っている企業を取材し、各企業の取り組みを紹介します。

 第13回は、eコマースにおける世界的なリーディングカンパニーの日本法人、アマゾンジャパンです。社員数は約8500人、出身国や地域は50以上にのぼり、多様性と個人の価値観を尊重しています。

 上編では、アマゾンジャパン コーポレート人事本部ディレクターの上田セシリアさんに話を聞きました。

アマゾンジャパン コーポレート人事本部ディレクター 上田セシリアさん
アマゾンジャパン コーポレート人事本部ディレクター 上田セシリアさん

顧客の幅広いニーズを満たすために多様性を重視した環境作り

編集部(以下、略) アマゾンジャパンのダイバーシティへの考え方について教えてください。

上田さん(以下、上田) アマゾンジャパンでは、「地球上で最もお客様を大切にする企業になること」という企業理念に基づき、社員やお客様を含めたすべての個人の多様性(diversity)、平等性(equity)、一体性(inclusion)、略してDEIを推進すべく尽力しています。

 ダイバーシティにおいても、性別だけでなく、人種、年齢、学歴や経歴といったバックグラウンドなど、目に見える違いと目に見えない違いを含めて重要視しています。

 なぜなら、お客様に多様なニーズや思いがあり、それらを満たすために我々も多様な人材を雇用し、多様な考えを持つべきだからです。そこで、社員が自分らしさを生かせる環境をつくることを大切にしています。

―― 自分らしさを生かせる環境づくりとは?

上田 まずは、自分の意見や視点をお互いに共有し、理解し合える環境づくりに力を入れています。そのためには、経営陣がDEIに積極的に取り組むことにコミットし、自らがロールモデルとなり率先的に実践しています。さらに、従業員全員が責任を持ってDEIを推進しています。その際、失敗を恐れず、どんどん新しい取り組みを行い、試行錯誤を重ねながら進めていくことを重視しています。