2030年までに、指導的地位に女性が占める割合を少なくとも30%程度にすることを目標としている政府。全体としてはまだまだ低い水準ではあるものの、女性管理職を増やす取り組みや、ARIA世代の女性が長期的なキャリアプランを描けるような支援を行う企業も増えています。そこで、女性管理職研修をはじめ、女性の活躍推進を積極的に行っている企業を取材し、各企業の取り組みを紹介します。

 第12回は、スウェーデン発祥のホームファニッシングカンパニーイケアの日本法人、イケア・ジャパンです。イケアでは「Equality(平等)」の精神で、男女ともに平等な機会を与え、すべての国、階級、役職(取締役会と委員会を含む)で、50 対 50 のジェンダーバランスの達成を目指しており、イケア・ジャパンは女性管理職比率49.5%を達成しています。

 下編では、イケア・ジャパンのカントリーコミュニケーションマネージャーで経営幹部のメンバーである岩﨑有里子さんに話を聞きました。

スウェーデンの家庭で目にした「Equality」

―― 今までのキャリアについて教えてください。

岩﨑有里子さん(以下、敬称略) 高校時代にスウェーデンに1年間留学をして、どの家庭にもイケアのカタログがあり、週末にはイケアに行くという暮らしを体験していたんです。

 高校時代という多感な時期に、スウェーデンの家庭でまさに「Equality(平等)」を目にしました。母親が仕事も家庭もナチュラルに両立していて、父親も普通に家事をして育児をして一緒に家庭を作り上げていくという姿が印象的でした。

 日本に帰って就職するタイミングで、ちょうどイケアが日本に進出。スウェーデンの企業であれば高校時代に夢見たような暮らしができるのではないかなと思い、2006年にイケア・ジャパンに入社しました。

 イケアはジャングルジム型のキャリアを推奨しています。決して上がるだけがキャリアではなく、ライフステージに合わせて、子どもが生まれてゆっくりしたければ下がることもあるし、全く違う分野に挑戦したければ平行移動もできる。まさに私もジャングルジムに乗りました。

 入社後、「IKEA船橋」(現在の「IKEA Tokyo-Bay」)でレストランのフード部門で半年ほど働いた後、日本だけでなく世界中の空いているポジションに誰でも手を挙げて応募ができる「オープン・イケア」という社内公募制度を利用して本社へ移動。本社の店舗出店の部署のプロパティーマネジャーのアシスタント業務を務めました。最初の2年ぐらいは秘書業務、その後は市場調査のスペシャリストとして2年ほど携わりました。

イケア・ジャパン カントリーコミュニケーションマネジャー 岩﨑有里子さん
イケア・ジャパン カントリーコミュニケーションマネジャー 岩﨑有里子さん