家でも会社でも自分らしくいられる

岩﨑 イケアで共通しているのは、「be yourself」。家でも会社でも自分らしくいる、いつも同じ顔でいられるような居心地のいいオフィスにしたいという考え方です。

 自分らしくいられて、何でも言える環境なので、さまざまな発想が生まれてきます。ジャングルジム型キャリアで、違うバックグラウンドの人がポジションに就くことで新たなシナジーも生まれます。

 メンター制度を設けたり、アンコンシャスバイアスのトレーニングを行ってステレオタイプをなくしたりすることで、女性も働きやすい環境があると思います。福利厚生もしっかりしていて、社内託児所や出産時の手当などの仕組みがあります。小学生以下の子の看護休暇や年間10日の介護休暇など、各種休暇制度も整っており、イケアで定めたパートナー(同居1年以上)であれば、取得することが可能です。

本社オフィスに隣接する社内託児所。岩﨑さんも子どもを預けて、仕事の合間に授乳に通った
本社オフィスに隣接する社内託児所。岩﨑さんも子どもを預けて、仕事の合間に授乳に通った
本社オフィスに隣接する社内託児所。岩﨑さんも子どもを預けて、仕事の合間に授乳に通った

男性が家事・育児をすることは、夫にとってもベネフィット

岩﨑 1人目のときは私が保育園まで送り迎えをしていたし、子どもが熱を出したときも、私が仕事を調整していました。女性が頑張るのが当たり前だと、特に疑問に思っていなかったんです。

 けれど、ヘレンと一緒に話をしていて、「このやり方だと、あなたいつか離婚するわよ。経済力もあって仕事も楽しくてやっていると、そんな残業ばかりして家に帰ってこない夫の存在にいつか疑問を抱くのは、世界中で割と多い話よね」と。

 同時に「父親がもっと家事育児に参加すると、彼の方が得意なこともあると分かるだろうし、あと何より子どもと過ごす限られた時間、人生の中でかけがえのない時間を彼から奪わないように」というポジティブな面も教えてもらったんです。

 家事や育児をすることは夫にとってもベネフィットだと気づいたら、ちゃんと話さなきゃいけないなと。今では家事育児の分担が本当に50対50になっているし、夫もすごく育児を楽しんでいるので、話し合って良かったと思います。

取材・文/平野友紀子 撮影/鈴木愛子