アンコンシャス・バイアスがあることをまず知る

―― アンコンシャス・バイアス研修とは、どのような内容なのでしょうか?

野口 アンコンシャス・バイアスとは、個人の経験やメディアの情報、企業独自の慣習や風土などによって、自分自身が気づかずに持つ偏った見方・考え方のことです。この「無意識の思い込み」があることをまずは知るのが研修の目的です。

 2018年3月、まずは経営メンバーを対象に、アンコンシャス・バイアスの第一人者であるパク・スックチャ先生による研修を実施しました。研修後の経営メンバーの感想や決意は、社内報やビデオメッセージで社員に配信しました。

 その後、2018年7月に人事部門メンバーを対象に研修を行い、2019年秋より全社員向けに研修をスタートしています。

「人を大切にする風土があるからこそ、『配慮』が先に来てしまうこともありました」と話す野口さん
「人を大切にする風土があるからこそ、『配慮』が先に来てしまうこともありました」と話す野口さん

 基本的に社員向けの研修では、最初にパク先生が監修しているeラーニングを使って基礎知識を学びます。15分程度で、冒頭に当社向けに目的を伝える動画を加えた内容です。

 その後、部署ごとに集まってグループワークを行います。ファシリテーターを1人決めて、職場で何か自分たちの行動を阻害している思い込みはないか、4~5人のグループで話し合ってもらい、付箋紙に書き出してみんなで共有します。他の人の考えや意見を知りたいという人事部門研修でのコメントにより実施しています。

 アンコンシャス・バイアスは普段の何気ない会話や思考に潜んでいます。そして自分の思い込みで話すことが周囲にどう影響をするかを知ったうえで、自分の中でコントロールしよう、変えていこう、という気づきを与える内容になっています。