2020年までに、指導的地位に女性が占める割合を少なくても30%程度にすることを目標としている政府。全体としてはまだまだ低い水準ではあるものの、女性管理職を増やす取り組みや、ARIA世代の女性が長期的なキャリアプランを描けるような支援を行う企業も増えています。そこで、女性管理職研修をはじめ、女性の活躍推進を積極的に行っている企業を取材し、各企業の取り組みを紹介します。

(上)新生銀行「スポンサー役員」が選抜女性社員を育成 ←今回はココ
(下)スポンサー役員の言葉で、昇格する心の準備ができた

 第5回は、新生銀行グループです。2018年2月にダイバーシティ推進室とグループ女性活躍推進委員会を設置し、女性の活躍推進の施策を促進しています。2019年6月からは「女性人材育成プログラム」を開始し、女性社員を計画的に育成する体制を整備しています。新生銀行では、2020年度の管理職に占める女性社員の比率を17%にする目標を掲げていましたが、すでに達成しました。

 上編では、株式会社新生銀行グループ本社ダイバーシティ推進室長の西玉音さんに、昨年から導入した「プール人材プログラム」と「スポンサー役員」について聞きました。

ライン上ではない役員が「スポンサー」に

西玉音さん(以下、敬称略) 次のステージに上がるべき人材を認識し、計画的に育成する仕組みを作ろうということで、2019年4月から開始したのが「女性人材育成プログラム」です。

西 まずはグループ会社(新生銀行、アプラス、昭和リース、新生フィナンシャル)ごとに、ワンステップ上へと育てたい女性社員を選抜します。新生銀行では、部長の女性が少なかったので、その下の統括次長という役職から部長を目指す人材を選抜。新生銀行以外の3社は、そもそも女性管理職が少ないので、役職がない社員から管理職を目指す人材を選抜しています。

 選抜された女性社員を「育成候補人材」と呼んでおり、年齢は30代から40代が中心。現在はグループ全体で60名ほどいます。

 育成候補人材を育成するのが、直属の部長と統括している「オーナー役員」、さらに「スポンサー役員」と呼ばれる役員です。スポンサー役員は、いわゆるライン上の人ではなく、別のグループ会社の役員がなることもあります。

 スポンサー役員は、育成候補人材の相談役であると同時に、育成候補人材を「宣伝」する役割も持ちます。自分が統括する部門のミーティングに出席してもらって刺激を与えたり、直属の部長やオーナー役員に対して、彼女にはこういうことが必要だからもっとこうした方がいいとアドバイスをしたりします。