2030年までに、指導的地位に女性が占める割合を少なくても30%程度にすることを目標としている政府。全体としてはまだまだ低い水準ではあるものの、女性管理職を増やす取り組みや、ARIA世代の女性が長期的なキャリアプランを描けるような支援を行う企業も増えています。そこで、女性管理職研修をはじめ、女性の活躍推進を積極的に行っている企業を取材し、各企業の取り組みを紹介します。

 第11回は、国内外の個人投資家・機関投資家の資金を預かり、株式や債券などに投資する業務を営んでいる日興アセットマネジメントです。2018年1月に「ウィメンズ・グループ」を発足し、女性社員の活躍支援体制の強化を目指して草の根レベルでの活動に注力する一方、女性社員の就業環境をさらに向上させるために経営陣主導のトップダウンのイニシアチブにも取り組んでいます。

 下編では、ワーキンググループ「ウィメンズ・グループ」のリーダーである株式運⽤部⻑ 兼 オルタナティブ運⽤部⻑の⽯川康さんと、資産運用サポート推進部 グループマネージャーの矢野智美さんに話を聞きました。

2018年1月「ウィメンズ・グループ」を発足

―― 2018年1月に「ウィメンズ・グループ」に参加されたきっかけを教えてください。

石川康さん(以下、敬称略) 金融機関は全般的に女性活躍推進が進んでいないと認識しています。当社は女性社員の比率が約3割ですが、管理職の女性比率はそれに比べると低く、人事本部も課題と位置づけています。そうした中で、社員が自発的に参加して、草の根レベルでもっと女性活躍推進に取り組む「ウィメンズ・グループ」という社内ワーキンググループが新設されたので参加を決めました。上からだけでなく、下からも進めていくことが大切だと思っています。

 私自身、女性の部下を持つ立場ですが、社内外の多くの人の話を聞くと、女性は昇進するチャンスがあっても、思慮深さから遠慮してしまうときがあると認識しています。そのため、上司がためらっている女性の背中を押したり、意識を変えるためのサポートをしたりする必要性があると思っています。

 私の前職の金融機関での上司は、新しい部署の設立を提案して自らその部長になった非常に優れた女性でしたが、メンターからのサポートがあったと聞いています。ニューヨークやロンドンに赴任していたことがありますが、海外の金融機関のほうが、女性が活躍している割合が高いように感じています。そのような経験に基づき、自分にも何かできるのではないかと思い、「ウィメンズ・グループ」の活動に参加しています。

矢野智美さん(以下、敬称略) 2016年の「女性活躍推進法」の施行を受けて、女性の育成や登用に向けた行動計画の策定を求められた際に、当時の人事部長から「一緒に目標を決めることに参加しませんか」と声をかけてもらいました。その後、ワーキンググループという形で女性活躍推進に取り組んでいくと聞き、一人くらい行動計画作成の経緯を知っている人がいてもいいかなと思い、手を挙げました。

 私は、当社の投資信託商品を販売している全国の金融機関に対して、販売員向け研修や投資家向けセミナーといった営業推進活動を行う部署のマネジャーです。メンバーはスキルが高く自身の仕事への思いも強い女性が多い部署ですが、女性管理職はまだまだ少ない状況でもあり、もっともっと頑張れる、いろいろな機会があるということを知ってもらいたいと思い、「ウィメンズ・グループ」に参加しました。