2030年までに、指導的地位に女性が占める割合を少なくても30%程度にすることを目標としている政府。全体としてはまだまだ低い水準ではあるものの、女性管理職を増やす取り組みや、ARIA世代の女性が長期的なキャリアプランを描けるような支援を行う企業も増えています。そこで、女性管理職研修をはじめ、女性の活躍推進を積極的に行っている企業を取材し、各企業の取り組みを紹介します。

 第11回は、国内外の個人投資家・機関投資家の資金を預かり、株式や債券などに投資し、運用する業務を営んでいる日興アセットマネジメントです。2018年1月に「ウィメンズ・グループ」を発足し、女性社員の活躍支援体制の強化を目指して草の根レベルでの活動に注力する一方、女性社員の就業環境をさらに向上させるために経営陣主導のトップダウンのイニシアチブにも取り組んでいます。

 上編では、サステナビリティ活動を統括・推進している、日興アセットマネジメント常務執行役員のステファニー・ドゥルーズさんに、女性活躍推進の取り組みについて聞きました。

日興アセットマネジメント 常務執行役員 ステファニー・ドゥルーズさん
日興アセットマネジメント 常務執行役員 ステファニー・ドゥルーズさん

3人の子どもとともに、ロンドンから日本へ

―― これまでのキャリアについて教えてください。

ステファニー・ドゥルーズさん(以下、敬称略) 2014年に日興アセットマネジメントに入社し、19年5月から常務執行役員を務めています。当社は現在計6人の執行役員がいますが、このうち女性は私を含めて2人です。現在は、国際営業・戦略、営業支援、商品開発、マーケティング、ETFビジネスおよびコーポレート・サステナビリティーを統括しています。

 当社に入社するまではロンドンに住んでいて、バークレイズやモルガン・スタンレーといった金融機関で働いていました。女性にとってはとても厳しい環境で、常に努力が必要でしたがやりがいもありました。

 そんなとき、以前勤めていた金融機関の同僚が日本に移り、私の経験とエネルギーを活用できるのではないかと日興アセットマネジメントでのポジションを紹介してくれました。シングルマザーで3人の子どもと(保護犬3匹と)暮らしていたのでロンドンを離れるのは大変だったのですが、チャレンジしたいと思い、6年前に皆で日本に移り住みました。

―― 日本の子育て環境についてどう思われますか?

ステファニー とても素晴らしいと思います。働く女性が出産後すぐに職場復帰することが現実には容易ではないなど、特に出産後の最初の数年間の公的な支援が十分ではないと感じることもあります。一方で良い点も数多くあります。その1つが治安の良さで、いつでもどこでも子どもたちだけで遊びに行くことができます。幸いなことに私は、⽇本の一番良いところと海外の一番良いところの双方を知り、それらを組み合わせることができるので、結果的に日本に来てよかったと思っています。

 子どもたちは現在12歳、15歳と17歳に成長し、皆日本語も勉強し、長女は日本の大学を目指していて、そんな子どもたちに私は誇りを持っています。