日本と英国、女性が働きやすいのは?

―― 日本と英国では女性の働きやすさは違いますか?

ステファニー それぞれいいところも悪いところもあります。一般的には、英国の女性の方がキャリアアップに熱心です。私が90年代に金融業界で働きはじめた頃、男性の同僚より多く努力して、初めて彼らと同じように評価されると感じていました。

 日本の場合、きちんとアウトプットを出していればそれが公平に評価されるという素地があると思います。けれど、日本の多くの女性は仕事をしながら介護や子育てをしたり家事をしたりと、相当な負荷を背負っていると思います。こうした現実が長期的なキャリアを考えることを難しくしているのと同時に、そのような重荷に対してあまり客観的に評価されていないということがあると思います。

 たとえば、16時に会社を出て子どもを迎えに行かなければいけない時、その女性が帰る姿だけをみんな見ています。でも、彼女は早めの退勤を補うために他の人より朝早く出勤して、勤務時間は実質的に同じだったり、家に帰ってからも夜遅くに再びログオンして仕事をしていたりする場合もあります。そういったことが正しく評価されてこなかった面があるのかもしれません。

 さらに、日本では働く女性への出産後の最初の数年間におけるサポートがあまりないのにも驚きました。英国の職場は非常に大変ですが、子育てという面では支援がとても充実しています。職場に託児所があったり、子どもの面倒を見てくれるベビーシッターが住み込みで家庭に来てくれたりすることは、スタンダードなサービスとして提供されます。