4回目となる「日経ARIA読者交流会」を1月30日に開催しました。今回は「完璧なリーダーを目指さない『最強チームの作り方』」をテーマに、会場の日経BPセミナールームに集まった読者の皆さんと、日経ARIAアンバサダーを務める3人の識者とで意見交換を行いました。講演とワークショップを通じて、さまざまな業種、職種の参加者で、理想のリーダー像を具体化し、シェアする会となりました。

不動産会社社長、社労士、PR総研副所長の3人が登壇

 この日、会場に集まった読者は22人。多種多様な職業のリーダー、もしくはこれからリーダーになる方々です。読者交流会は、日経ARIA編集長・大屋奈緒子によるあいさつの後、現在さまざまな組織のリーダーとして第一線で活躍している日経ARIAアンバサダー3人が順に登壇。不動産会社社長、社労士、PR総研副所長といった、それぞれの立場から「リーダー論」を語りました。

読者交流会の冒頭に、今回のテーマ「最強チームの作り方」について説明する日経ARIA編集長の大屋奈緒子
読者交流会の冒頭に、今回のテーマ「最強チームの作り方」について説明する日経ARIA編集長の大屋奈緒子

チームはアマゾン? 失敗から生まれた「ティール組織」

 最初に登壇したのは、不動産会社社長を務める大西倫加さん。

 「私はもともとPRコンサルタントとして現在の不動産事務所と関わっていて、外部から来て社長になりました。最初はもう、社員からすごい反発に遭いました。それでも、なんとか従業員の皆についてきてもらえるよう、統制したり放置したり手を尽くしましたが、自分一人の力で社員全員が納得できる環境をつくるには限界があることが分かり、ある日ついに『もう無理!』と爆発しました。そして私は、3つのことをやめました」

大西倫加さん(さくら事務所社長、らくだ不動産社長)は、経営者になって3つの「しない」宣言をしたという
大西倫加さん(さくら事務所社長、らくだ不動産社長)は、経営者になって3つの「しない」宣言をしたという

 大西さんが新米社長として悪戦苦闘した結果、3つのことを「しない」ことに決めたそうです。それは、「ルールを増やさない」「スタッフをコントールしない」そして、「完璧を目指さない」こと。

大西さんが管理職としてやめた3つのこと
【1】ルールを増やさない
就業規則は最低限。基本的に個人のモラルに任せる。複・兼業自由。定年も自分で決めていい。仕事は大枠の方向性だけを伝え、後は個々人の裁量に任せる
【2】スタッフをコントロールしない
スタッフは立派な大人。任せた以上、各自のやり方を尊重し、フォローや助言はしても自分の意見を押し付けたり命令したりしない
【3】完璧を目指さない
リーダーだから完璧じゃないと駄目だという意識を捨てる。強いパワーがある権限者が完璧だと部下は何も言えなくなり、それに業を煮やした権限者はまた叱る、という負のスパイラルに陥る

 「私は社長ですが、皆より偉いのではなくて、皆をサポートする雑用係です。この会社は全員フラットで上下関係はありません。社長にだってできないことがある、というスタンスに変えたんです。すると社員から活発に意見が出てくるようになったり、私の至らなさを見て助け舟を出してくれる人が現れたりするようになり、ここからチームが円滑に動くようになりました。

 チームって、例えればアマゾンなんです。ネット通販サイトのAmazonではなく、南アメリカのアマゾンです。あの特殊な環境を生き抜くために、生き物は多種多様な生き方を形成しています。あらゆる特性やキャラクターがあって、その在り方に正解、不正解は無いんです。

 それをリーダーは理解して、部下それぞれの長所を生かすように動くことが大切だと私は思います。それが『ティール組織』です」

個人も組織も進化し続ける「ティール組織」について解説する大西さん
個人も組織も進化し続ける「ティール組織」について解説する大西さん