リーダーの幸福を感染させてチームを強くする「ポジティブ心理学」

 続いての登壇は、働き方改革やワーク・ライフ・バランス推進のセミナー講師としても活躍する、特定社会保険労務士の片岡正美さん。「ポジティブ心理学」に基づいたリーダーシップについて講演しました。

セミナー講師としても活躍されている片岡正美さん(あしばP&Lコンサルティング社長、特定社会保険労務士)は「ポジティブ心理学」の視点から、理想のリーダーについて講演
セミナー講師としても活躍されている片岡正美さん(あしばP&Lコンサルティング社長、特定社会保険労務士)は「ポジティブ心理学」の視点から、理想のリーダーについて講演

 「ポジティブと聞くとポジティブシンキングをイメージする人もいますが、ポジティブ心理学は別物です。ポジティブシンキングは、何事もとにかく前向きに考えましょうというもの。ポジティブ心理学は、今あるネガティブな感情を否定するのではなく、ポジティブと両方みていく。幸福、ウェルビーイング(Well-Being)について研究する学問です。幸福感は人間の脳と組織に『幸福優位性』をもたらします」

 片岡さんはそう語り、幸福度が高い人の傾向を紹介しました。

幸福度が高い人の特徴
■生産性が高く、売り上げも多い
■リーダーとして優れ、社内外からの評価が高い
■変化に適合し、創造性が高い
■求められた以上のソーシャルサポート(利他的な行動)を惜しまない
■仕事で燃え尽きにくい
■欠勤や離職率が低い
■事故やトラブルが少ない

 「ポジティブ感情は可能な選択肢を増やし、思慮深く創造的で、柔軟に考える思考をつくります。それは将来的に有効な知的・社会的・身体的資源となっていきます。そしてチームのリーダーがポジティブな感情を持ち、幸福であれば、チーム全体に幸せが感染し、強いチームになります。だからまず、リーダーが幸せであることがとても大事です」

片岡さんは「幸福なリーダーが、チームを幸せにして、強いチームを作る」と語る
片岡さんは「幸福なリーダーが、チームを幸せにして、強いチームを作る」と語る

 片岡さんは、最強チームを作るための理想のリーダー像、内側から幸せを向上させるためのポイントを挙げました。下記は、その一部です。

片岡さんが考える「理想のリーダー」とは
■自分自身の良さ、強みに気づく
「得意なこと」と「情熱を持てること」、この2つをクロスしたところが一番の強みを発揮できる
■感謝を表現する
相手がうれしくなるだけではなく、感謝を伝える自分自身の幸福度が高まる
■日々の小さな成功に気づき、味わう
■他者の良さ・強みに気づき、褒める
プロセスを評価する
■レジリエンス(回復力)を高める
ストレスから回復する時間を確保する。健康な体づくり、睡眠・運動・休養などを欠かさない
■心理的安全性を確保する
同じ組織、チームの誰もが自由に発言しても否定されず、受け入れられる環境をつくる。そのために、リーダーは自分も失敗や弱さを見せられることが必要