北欧ブランド商品の輸入販売事業を立ち上げ、会社を創業30年、年商20億円規模にまで導いてきたアペックス社長の芳子ビューエルさん。起業と会社経営のリアルな壁をどう乗り越えてきたのか、羽生祥子編集長が「お金」「営業」「ひと」という3つのテーマでお話を聞いていきます。濃縮レッスンの第3回は、経営者としての自覚や後進の育成といった、「ひとの壁」についてのお話です。

(1)北欧輸入で年商20億円に育てた起業術
(2)成功起業家の営業のコツは「断られる」
(3)トラブル対処に効く社長のメンタル術 ←今回はココ

「暗幕買ってきて!」が口癖だった

羽生編集長(以下、――) 芳子さんは、商品の売り込みに行って断られれば断られるほど燃えるタイプということでしたが、経営者として胃の痛くなるような思いをしたこともあるかと……。特に起業したばかりの頃は、たとえ数百万円といえども、お金を借りるというのはプレッシャーのかかることですもんね。

芳子ビューエルさん(以下、芳子社長) 私ね、「机の下にもぐりたい症候群」だったんですよ。うちの会社で28年働いている人がいるんですけど、「ビューエルさん、昔はよく私に『暗幕買ってきて!』って言ってましたよね」と言うんです。というのも、当時の私は、机の下に暗幕を張ってそこに隠れてしまいたいと思うことばかりで。誰か来ても「いないって言って!」という気持ちでした。

―― お金の返済ができなくて、机の下に!?

芳子社長 そういうわけではなくて、自信のなさそうな顔をしていたら誰もお金を貸してくれません。だから銀行に対しては、経営者として常に「大丈夫です!」と自信たっぷりに話す必要があります。でも内心は、「このお金、返せるかなあ」「従業員にお給料払えるかなあ」「今月はこれでやっていけるかなあ」などなど、不安でいっぱい。そのギャップを常に抱えていました。

 経営者の先輩たちは、「したたかになりなさい」「銀行の前ではこういうふうに振る舞いなさい」などといろいろアドバイスをくれましたが、起業したてのひよっこ社長にとってそれを実践するのは大変なこと。時々トイレに入っては泣いていました。

―― 「経営者」としての心構えや自信をどう身に付けるかということもまた、大きな壁ですね。どうやって乗り越えたんですか。

7月に東京ビッグサイトで行われた展示会で、外国人の来場者とユーモアを交え交渉する芳子社長。「ひよっこ社長」の頃がイメージできないほど、今では堂々たる姿