定年後を見据えた働き方、生き方を意識し始めたシングル会社員の悩みに、「キャリア」と「お金」の両面から実践的なアドバイスをお届けします。今回の相談者は、監査法人に勤める公認会計士の女性。年齢と共にハードな働き方を続けることが厳しくなり、シフトチェンジの方法を模索しているそうです。社会保険労務士の佐佐木由美子さんはそんな彼女に対し、会社員ではない働き方を提案します。

相談者No.4 ユリさん(49歳、監査法人)

監査法人に勤める公認会計士。これまで同社で15年以上バリバリ働いてきて、専門職としてのキャリア・収入ともに満足している。だが、出張の多い生活で、最近は体力的に限界を感じている。これからの人生は、仕事ばかりでなく自分のやりたいことをしてみたいので、働き方をもっとゆるやかに自由なものにシフトできないかと真剣に考えている。仕事柄、数字には強く、資産運用はしっかりとしてきた。

キャリア編アドバイザー 佐佐木由美子さん(社会保険労務士)

専門性を生かし、フリーランスでゆるやかに働く

 働き方をもっとゆるやかにしたい、というユリさんのお気持ち、よく分かります。バリキャリ女子の生活はとてもハード。まして公認会計士として監査法人に勤務しているなら、残業も日常茶飯事でしょうし、タイトな出張スケジュールも想像がつきます。仕事のために、私生活を犠牲にしてきた部分も多かったかもしれません。

 年齢的に体力面での変化を感じやすい40代半ば以降、30代の頃とは違って無理がきかなくなって当然。そのせいか、ユリさんのようにもっとマイペースな働き方へシフトしたい、と考え始める人は案外多いのではないでしょうか。

 ユリさんは、どのように働き方をシフトしたいか、具体的なイメージがあるでしょうか? 監査法人で公認会計士としてのキャリアを積み重ねてきたバックグラウンドがあるなら、独立するという選択肢も十分に考えられますね。

 独立といっても、事務所を構えて人も雇用するとなると、売り上げもそれなりに立てなければならないので、むしろ今より大変になってしまいます。ゆるやかに働きたい、というなら、フリーランスという選択もありではないでしょうか。

 例えば、公認会計士事務所として開業すれば、実質的にはフリーランスであっても、「所長」という肩書で仕事ができます。今はレンタルオフィスで簡単に登記もできますし、電話代行サービスも利用できたりしますので、それほど経費をかけずに自分のビジネスを起こしやすくなりました。

 新規のクライアントを獲得するのが大変では? という疑問は当然あるでしょう。これはそれなりに戦略を立てて準備する必要があります。ただ、収入源を確保する方法として、これまでのキャリアや人脈を生かし、アルバイト的に監査法人で業務委託の非常勤として働く、というやり方なども考えられるのではないでしょうか。

 雇用されている立場の場合、仕事を選ぶことはできません。出張を命じられたら、業務命令ですから断ることはできませんし、働く場所や時間を自由に決めることも難しいものです。

 フリーランスになれば、もちろんどこまでの収入を得たいか、というユリさんの希望もありますが、働く時間や場所を自分の好きなように選択できるメリットがあります。

 さらにおすすめの理由としては、定年がない、ということです。