ARIA世代の会社員がそう遠くない未来に向き合うことになる定年。キャリアの自由も責任も自分次第のシングルにとっては、今のうちから定年後の働き方や老後資金を見据えた人生のかじ取りが欠かせません。そこで今回、シングルならではの悩みに寄り添う相談室がオープン! 社会保険労務士の佐佐木由美子さんとファイナンシャルプランナーの高山一恵さんが、「キャリア」と「お金」の両面から実践的なアドバイスをお届けします。さて、今回の相談者は……?

相談者No.1 マキさん(46歳、出版)

大手出版社に勤務する編集者でバツイチ。激務だが給与は高く、10年前に職場近くの青山にマンションを購入した(ローンがまだ20年残っている)。人生を楽しむための出費は惜しまないタイプ。お酒が大好きでファッションにも興味があり、何かと生活にお金がかかる。そのため、収入の割に貯蓄があまりない。

ここ数年、ハードな生活からアロマやマッサージなど癒やし系の趣味にはまっていくうちに、癒やしの世界の仕事に興味を持つように。ヨガインストラクターに転身したいと本気で考え始めている。

キャリア編アドバイザー 佐佐木由美子さん(社会保険労務士)

未経験・異業種へのキャリアシフトは戦略を練ろう

 マキさんは、大手出版社の編集者という立場から、ヨガインストラクターに転身(フリーランスとして起業)をご希望ということで、かなり思い切ったキャリアシフトを思い描いているようですね。40代半ばといえば働き盛り。職場での役割や責任も増えて、相当ハードに仕事をされていることでしょう。

 バリバリと働いてきた人には、ストレスに耐え切れずに燃え尽きてしまったり、精神的な癒やしを求めたりする人が少なくありません。また、これから先を見据えて、「今のようなハードな仕事生活はもう無理! キャリアをゆるやかにシフトしたい」と考え始める人は40代半ばくらいから増えてくると思います。

 ある調査によれば(※)、キャリアの終わりを意識している人の割合が、意識していない人の割合を逆転するのは45.5歳だといいます。マキさんもちょうどそうしたお年ごろ。今のうちからこれからのことを考え、布石を打ちたいと考える気持ちはよく分かります。

※パーソル総合研究所・法政大学大学院 石山研究室「ミドル・シニアの躍進実態調査」

 40代で異業種・未経験の分野にチャレンジするのは転職でも勇気が要りますが、まして起業・独立となるとハイリスク。だからこそ、しっかりと戦略を考えたいものです。

 マキさんはシングルで住宅ローンも残っている、ということなので、最低限生活できるだけのお金は確保しておかねばなりません。そう考えると、一番リスクヘッジできるのは、未経験の分野は副業から始めて手を広げていくことです。そこで、副業をするときに注意すべき4つのポイントをお伝えします。