結婚、流産、失職、離婚、再婚、2拠点生活、更年期…人生の山谷を数多く経験してきた酒ジャーナリスト・エッセイストの葉石かおりさん(53歳)。最終回となる今回のテーマは「ストックビジネス」。仕事の危機から考え始めた不動産投資で夫婦の絆がより強まったそう。今宵もデュアルライフに乾杯! オススメのお酒とともに、ARIA世代夫婦の関係性を考えます。

 仕事は「フロービジネス」と「ストックビジネス」の2つに分けて考える。

 これは経営者である夫からアドバイスしてもらったこと。こんな横文字のカッコイイ言い方ではありませんでしたが(笑)。50歳を過ぎ、仕事の内容や環境が変わったことで、ストンと腑(ふ)に落ちた言葉でした。

突然の連載打ち切り、イベントの中止…心が不安でいっぱいに

 ご存じの方も多いと思いますが、フロービジネスとは、クライアントの取引が一回で終わってしまう形態の仕事のこと。私のようなフリーランスでいうと、単発の講演や読み切りのエッセイなどがそれにあたります。一方のストックビジネスは、クライアントとの関係、収入ともに継続し、安定した収入が得られる仕事の形態を指します。分かりやすいわかりやすいところで言うと、YouTubeなど収益が上がる自身のメディアを持つことがこれに当てはまります。

 つい最近まで私の仕事はフロービジネスが中心で、興味こそあるものの、ストックビジネスを始めようとは夢にも思いませんでした。しかし昨年から次々と起こった「仕事上の環境の変化」によって、仕事の形態をフローとストックに二分して考えることの大切さが身に染みてわかるようになったのです。

お世話になった人が次々に退職、転職…。仕事の引き継ぎもなく不安でいっぱいに
お世話になった人が次々に退職、転職…。仕事の引き継ぎもなく不安でいっぱいに

 その「変化」とは、これまで自分を使ってくれていた方々が次々と退職や転職、または人事異動をされてポジションが変わったことです。引き継ぎがされていれば担当者が変わるだけで企画もそのまま継続するのですが、今回に限っては担当者とともに企画ごとなくなってしまうという最悪のケースばかりでした。突然の連載の打ち切り、大きなイベントの中止……。いつもは見ることがない占いのサイトを見てしまうほど心は不安でいっぱいでした。