結婚、流産、失職、離婚、再婚、2拠点生活、更年期…人生の山谷を数多く経験してきた酒ジャーナリスト・エッセイストの葉石かおりさん(53歳)。低用量ピルに出合ったおかげで更年期のつらい時期を乗り越え、東京と京都の2拠点で過ごすデュアルライフが快適に過ごせるようになったそう。今宵もデュアルライフに乾杯! お薦めのお酒とともに、ARIA世代夫婦の関係性を考えます。

 突然、顔から滴り落ちる滝のような汗。

 取材用の白いノートが、たちまち汗で水玉模様に変わっていく。真夏でもないのに、そして熱があるわけでもないのに、首から上が燃えるように熱く、止めようにも汗が止まらない。自分であせるほど、人から心配されるほど、顔から汗が噴き出て、その場で卒倒しそうになった。

ノートに滴り落ちる汗。30代半ばでまさか更年期とは…
ノートに滴り落ちる汗。30代半ばでまさか更年期とは…

 これが更年期との闘いの始まりでした。まだ30代半ば。いわゆる若年性更年期障害で明らかにホットフラッシュの症状ですが、このときは「まさか自分が」と軽く見ていました。しかし、軽視できないほど、その症状は繰り返し起こり、悪化の一途をたどっていったのです。取材や講演時にホットフラッシュが急に起こり、どんどん頻度が高くなっていきました。

 いつ起こるとも知れないホットフラッシュを心配して、真冬でもジャケットの下は常にノースリーブ。温度調整できるように気を付けていましたが、それでも対応できないほどに症状は悪化し、さらにはメンタルにまで影響が出るようになっていきました。