額に血管が浮きそうな激しい怒りを夫にぶつけた

 感情の起伏が激しくなり、ちょっとしたことでイライラ。それもただのイライラではなく、額に血管が浮きそうなほどの激しい怒りの感情で心がいっぱいになってしまうのです。感情のぶつけ先は一番近い身内である夫。今思うと、これも前夫との離婚原因の一つだったのかもしれません。こんな状態では仕事での人間関係もうまくいくはずがなく、感情に任せた物言いのせいで仕事は激減。揚げ句の果てには長く籍を置いていた出版社の上司とけんかして、いきなりクビになるという失態をやらかしてしまいました。

 感情をぶつけることは「いけない」と分かっていても、自分でもどうにもコントロールできない。まるで心の中に“暴れまわる猛獣”を飼っているかのようでした。

 東京と京都の2拠点生活をする現在の夫とも、つきあい初めはけんかが絶えませんでした。その原因は間違いなく、瞬時に爆発する感情をそのまま投げていたから。今のように離れて暮らしていることがメリットではなく、スカイプやメールでは感情の行き違いからミスコミュニケーションを連発。幾度となく別れ話が出ました。それはもう数えきれないほど。今だから言えますが、自分自身をコントロールできず、「死にたい」とさえ思ったこともあります。こんなひどい状態を42歳まで放置していたというのだから、自分でもあきれてしまいますよね。

「地獄」から救ってくれた低用量ピルとの出合い

 そんな「地獄」とも言える状態から救ってくれたのは、仕事でもお世話になっている婦人科医で「よしの女性診療所」の院長、吉野一枝先生でした。たまたま先生のご自宅に伺った際、ホットフラッシュの症状が出た私を見て、「葉石さん、それは更年期かもしれないよ。一度クリニックへいらっしゃい」と声をかけてもらいました。その数週間後、看護師の友人と共にクリニックの門をくぐったのです。

 血液検査の結果は先生の見立て通り、更年期であることが判明。低用量ピルを処方していただきました。正直、ピルを飲むことに不安はありましたが、それよりも長年苦しんでいた症状の原因が分かったこと、心の猛獣をようやく退治できる喜びのほうが大きかったですね。

 ピルを飲み始めて2週間後には、嘘のようにホットフラッシュの症状が改善されました。生理前に特にひどかった感情のアップダウンもなくなり、凪(なぎ)の湖面のように心が穏やかに。そう、あれほど手を焼いていた猛獣がやっと心から出て行ったのです。さらには吹き出物ばかりできていた肌の調子もすこぶる良くなり、重たかった生理も驚くほど軽くなったことも、心底ありがたいと思いました。