結婚、流産、失職、離婚、再婚、2拠点生活、更年期…。「これまでいろいろな坂を上がったり下ったりしてきました」という酒ジャーナリスト・エッセイストの葉石かおりさん(53歳)。「50代の今が一番ラク。いい意味での『あきらめ』が生きやすさにつながっている」。そんな葉石さんが歩んできたARIA人生を振り返りながら、東京と京都の2拠点で過ごすデュアルライフのリアルを、おすすめのお酒とともにお届け。今宵も、デュアルライフに乾杯! 今回のテーマは「離婚」と「再婚」です。

 「着地点が違う」

 今から13年前、私が離婚をした決定的な理由はこれでした。

39歳の誕生日の夜、夫から告げられた一言

 好きだとか、嫌いだとか、そんな小さなことはどうでもよく、「ああ、この人とはもう一緒にいることはできないんだな」と冷静に思いました。もう、これ以上の判断理由はない、と。

 前夫は「私以外の家族が欲しかった」。つまり子どもが欲しかったんですね。6歳年下の彼から「家族が欲しい。離婚したい」と言われた瞬間、一言も返せなかった自分がいました。

そんなこと突然言われたら、何も言えない
そんなこと突然言われたら、何も言えない

 当時、私は39歳。32歳で流産したトラウマと、仕事への達成感が得られない気持ちが入り混じり、子どもをつくることに対し消極的になっていました。40歳を目前に「子どもがいない夫婦だけの人生もいいかな」と思っていた矢先のことだったので、文字通り頭は真っ白。しかも、39歳の誕生日の夜だったんですよ、離婚を切り出されたのは(笑)。今思うと、彼もずーっと我慢してきて、決死の覚悟だったんでしょうね。高齢出産する勇気もなければ、潔く休職する自信もない私は、彼を責めることができませんでした。