「終のすみか」を探して全国、そして北海道を巡る旅へ

 同じ時期、岩淵さんの心には「東京で一生を送るのはどうなんだろう」という疑問があり、結婚が決まる前から時間を見つけては「生涯を過ごすための場所」を探し、全国を巡る旅をしていたのだそう。「働くにも、遊ぶにも東京は何も不自由がなくて、コンサートに行ったり、大好きな映画や舞台を好きなときに見に行ったり。すごく楽しく充実した時間を過ごしてきたんですが、さんざん東京を味わい尽くして『今の私にはもうそういう楽しさはいらないんじゃないか』と、気付き始めていたんです」。

 住むのは初めてでしたが、岩淵さんの祖母が泊村の出身で、北海道は今でも道内に親戚が住んでいるゆかりの地。最初は札幌市に1年、その後、2年間は夫の転勤により旭川市で暮らすことに。「旭川では車移動がメインなので、住んでいる間に冬の雪道運転にも慣れ、動物園や東川町のカフェでアルバイトをするようになりました。このときも『北海道でずっと住みたい町ってどこだろう?』と思い、今度は全道巡り(笑)。東川町は初めて訪れたときに、ものすごく活気とパワーを感じて面白い町だなぁと調べるようになった頃、また夫の転勤の話が持ち上がって。夫婦で話し合いを持つことにしました」

冬季にはお店の外にバードテーブルを出す。野鳥が訪れ、常連さんしかいないときは愛用のカメラを手に思わず撮影に夢中になってしまうことも
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