「都会を卒業して、田舎でゆったり暮らしたい」――誰しも、一度はこう思ったことがあるのではないでしょうか。とはいえ、家族の説得、家や仕事探し、新たなご近所さんとのお付き合いなど、越えるべき数多のハードルを前に「移住は夢物語」とあきらめている人も多いはず。そこで、国内の自然あふれる地方に移り、新たな生活をスタートさせた「移住の先輩」に移住成功の極意を聞きます。

上/山梨の限界集落に移住、家賃2万円の古民家で2拠点生活 ←今回はココ
下/改修費は200万円。限界集落へ移住後、農家民宿を開業

幸せになるための選択肢を、地方で耕す

―― JR中央線の石和温泉駅から、日に2本しかない路線バスに揺られて1時間の山梨県笛吹市芦川町。2013年、結婚を機にパートナーの山本真さんと、人口約400人の限界集落に移り住んだ渡辺亜紀さん。以来、土にまみれて野菜作りを楽しむ傍ら、江戸時代に建てられた古民家で農家民宿もオープンしました。「東京の真ん中で育った私が、地方で民宿まで開くまさかの展開。自分でもびっくりしてます」(亜紀さん)

 大手通信会社のシンクタンクや通信系ベンチャーなどを経て、39歳で独立し、コンサルティング会社「アルマ」を設立。企業研修や組織開発コンサルティング、コーチング業等にまい進し、湾岸エリアのタワーマンションで独身生活を満喫していた亜紀さん。絵に描いたような都会派キャリア女性が「地方」に目を向けたきっかけは、先輩コンサルタントに誘われ、ある地方の地方創生事業に関わったことでした。

山本真さん(左)は、山梨県北杜市の宿泊研修施設で働いていた。2人の出会いは、渡辺亜紀さん(右)主宰のワークショップを真さんがサポートしたこと。3年の交際を経て、結婚。新生活を芦川で送りたいとの亜紀さんの提案を真さんも快諾し、移住した。集落には独特な形状の切妻屋根を載せた古民家が、寄り添うように建つ