食料を買わなくても、冷蔵庫はなくても暮らせる
仕事に取り組む一方、毎日の暮らしに真摯に向き合う増村さん。「あって当然」と思いがちなモノやサービスが本当に必要か、「自分が納得できる物差しを見つけるための暮らしの実験」を続けてきました。移住後、「これからはローカリズムの中で生きる」と諏訪郡内に支店のないメガバンクの口座を解約。「たくさん貯蓄をして、お金で食料を入手するのではなく、畑を耕して、食料は自分で作ればいい」という考え方に。そして真夏でもクーラーいらずの富士見町では「食材を冷やして保存する必要もない」、と冷蔵庫も手放しました。
「それでも別に困ることはなく、ふつうに暮らせています」
「未来の子どもたちのために、そろそろ一人ひとりの大人が消費社会を卒業し、持続可能な暮らしへ移行していかないと」。今後目指すべき、身の丈に合ったシンプルな暮らしの形を、富士見町の小さな家でつくり、発信していく。実践者・増村さんの日々はこれからも続きます。
取材・文/籏智優子 構成/市川礼子(日経xwoman ARIA) 写真/砺波周平