34歳で余命宣告されたがんが寛解後、結婚して愛知県豊田市足助町に移住した清水潤子さん。介護職からハンター兼ジビエカフェ店主に転身した清水さんの移住後の暮らし、そしてこれからの夢とは?

(上)がんで余命宣告→寛解して移住 猟師として町を救う
(下)狩猟→解体→カフェで提供 移住した町で動物と向き合う ←今回はココ

 米作り体験への参加を機に通い始めた愛知県豊田市足助町で、有害鳥獣による農業被害の深刻さを知った清水潤子さん(50歳)。狩猟免許を取得して駆除活動を行う一方、人間のエゴで駆除された野生動物をせめてきちんと食べるべきと、同地でのジビエカフェ開業を決意。45歳のときに、会社員の夫とともに、江戸時代に建てられた古民家に移り住みました。

駆除した有害鳥獣を解体処理してジビエとし、「猟師めし」としてふるまう清水潤子さん。築150年以上の古民家を全面リフォームし、住居兼「山里カフェMui」に(ランチは完全予約制、不定休)
駆除した有害鳥獣を解体処理してジビエとし、「猟師めし」としてふるまう清水潤子さん。築150年以上の古民家を全面リフォームし、住居兼「山里カフェMui」に(ランチは完全予約制、不定休)

カフェ開業と同時に立ちはだかった法律の壁

 清水さんはジビエを提供する「山里カフェMui」をオープン。「これで駆除した肉を無駄なく活用でき、動物の廃棄率減少に貢献できる」と思ったのもつかの間、法律の壁が立ちはだかりました。飲食店で提供できるのは、食肉処理業の営業許可を得た施設で解体処理された肉だけだったのです。

 当初は食肉処理業者から肉を購入して対応したものの、これでは本末転倒。「こうなったら自前の解体処理施設を作り、食肉処理業の許可を受けようと決めました

 コストを抑えるため、建物を一から建てる代わりにコンテナを改造。必要な資金300万円のうち、150万円はクラウドファンディングで集めました。

解体処理施設が少ないことも、駆除された動物が市場に出回らず、廃棄される一因。「ローコストで作れることを知らせ、解体処理施設を作る人を増やしたい」と、コンテナを改造し、クラウドファンディングも活用して300万円で建てた自称「日本一小さな獣肉解体所」
解体処理施設が少ないことも、駆除された動物が市場に出回らず、廃棄される一因。「ローコストで作れることを知らせ、解体処理施設を作る人を増やしたい」と、コンテナを改造し、クラウドファンディングも活用して300万円で建てた自称「日本一小さな獣肉解体所」