失業後はハローワークに通い、飲み屋の店長に

 IT企業を辞めた後、実は晶子さんには1年間のブランクがある。この間、ハローワークに通い、知り合いが経営する飲み屋の雇われ店長を務めた。この経験が、晶子さんの人生観を大きく変えることになる。

 「ハローワークや夜の街で出会う人のなかには、かつて高給取りだった人、生活保護を受ける人、仕事がなくてぶらぶらしている人など、これまでの人生で出会ったことのないさまざまな人がいました。それまでの自分は、仕事をしていない人の気持ちが分からなかったし、仕事がないというだけで人間失格のように決めつけていたところがありました。でも、仕事の有無が人間の優劣を決めるわけではないんだと気づいたんです」

もう一度サラリーウーマンに戻りバリバリ働きたい

 そう気づくのと同時に、持ち前のチャレンジ精神がふつふつと湧き上がり、「もう一度バリバリ働くサラリーウーマンに戻りたいと強く思った」という。「将来、田舎暮らしで自営をしても困らないようにしたい。そのときのために、経理の勉強を兼ねて、あと5年くらい東京で働いてお金をためよう」。そう決心した晶子さんは、3社目として食料品やペットフードの輸入販売会社を選び、慣れない経理の仕事に取り組むかたわら、移住の夢を温め続けた。

海の際を走る線路のすぐ前に自宅兼宿がある。海の見える駅「千綿駅」は、長崎市内や佐世保、ハウステンボスへのアクセスもよく、立地も気に入っている
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