仕事も遊びも、楽しく頑張るのは好きだけど、でもちょっと最近息切れ気味…。そんな胸突き八丁のARIAなお姉さまがた、こちらでちょっと一服していきませんか? 皆さんをお迎えするのは、「覇気がない」を自認する北海道在住のエッセイスト、北大路公子さん。50代実家暮らし、お酒をこよなく愛するキミコさんが切り取る日常は、役に立つ話はほぼゼロ! しかしながら、そのゆるさと無駄にさえわたるユーモア、並の高級エステより癒やし効果抜群かもしれません。

そういうものだと思っていた

 もう何年にもわたって冬が嫌いだと言い続けているが、それでも毎年冬が来る。案の定、今年も来た。幸い今のところ雪は少ないが、遅かれ早かれ毎日雪かきに追われることになるのは分かっている。私も冬との付き合いは長いのだ。やつの魂胆はお見通しである。

 今では顔を見るのも嫌な冬だが、子どもの頃はさほどでもなかった。というか、あまり深く考えてはいなかった。寒いのも雪が降るのもそういうものだと思っていたのだ。子どもの「そういうものだ」で世の中を受け入れていく力はすごい。そういうものだと思いながら、スキー授業やスキー遠足に行き、町内の大人が児童公園に水をまいて作ったスケートリンクで遊び、命の危険を顧みずに軒下の大きなつららを狙い、土手をランドセルのそりで滑り降りた。と書くと楽しそうだが、全くそんなことはなかった。ほかにすることがなかっただけで、夏の海水浴の方がずっとずっとわくわくした。

 冬の不条理に気付いたのは、中学生の頃である。私が通っていた中学校には「雪踏み」の日があった。学年単位だったかクラス単位だったか、あるいは数クラス合同だったのかは忘れてしまったが、とにかくその日は長靴を履いて登校するようあらかじめお達しがあり、当該生徒は授業を一コマ潰してただひたすら雪を踏むのだ。どこの雪を踏むかというとグラウンドである。既に雪野原となっているグラウンドに、教師の指示でぞろぞろと降り立つ。長靴はずぼずぼと雪に埋まるが、そこで足踏みをするように少しずつ雪を踏み固め、平地を広げていくのである。