仕事も遊びも、楽しく頑張るのは好きだけど、でもちょっと最近息切れ気味…。そんな胸突き八丁のARIAなお姉さまがた、こちらでちょっと一服していきませんか? 皆さんをお迎えするのは、「覇気がない」を自認する北海道在住のエッセイスト、北大路公子さん。50代実家暮らし、お酒をこよなく愛するキミコさんが切り取る日常は、役に立つ話はほぼゼロ! しかしながら、そのゆるさと無駄にさえわたるユーモア、並の高級エステより癒やし効果抜群かもしれません。

最初の異変は一昨年の11月

 ここ2~3年、たたられているのではないかと思うほどの面倒事が次々と襲いかかってきている。「これさえ片付いたら」となんとか踏ん張った矢先に、次の面倒が現れる。開けても開けても新しい扉が目の前に立ちはだかっていて、ドラクエにこんな部屋なかったっけ? と思わず考える毎日だ。当然、楽しい記憶もあまりない。唯一うれしかったことは五十肩が治ったことくらいで、あれは本当によかった。なにしろ「五十肩はつらい」と先人から聞いてはいたが、つらいなどという使い古された言葉では足りず、「ごそい」とか「ぎゃめい」とか、何か専用の表現がほしいほどであったのだ。

 最初の異変は一昨年の11月であった。どうしてこんなにはっきり覚えているかというと、遠くの友人と久しぶりに会った時に、

 「最近、肩が変なのよ」

 「あ! 私も私も!」

 という会話を交わしたからである。その頃は腕を後ろへ回すとなにやら妙な違和感がある程度だったが、それが少しずつ形を持ち始め、年が明けた頃にははっきりとした「痛み」へと成長していた。じっとしている分にはさほどではないが、ふとした動きで激痛が走る。たとえば、ドアを後ろ手に閉めるとか高いところの物を取るとかだ。

 「くっ……」

 そのたびに連投がたたってけがをした昭和の野球漫画の主人公のように肩を押さえ、マウンド……ではなくてドアや棚の前でうなだれた。電気が走るような痛みとはよく言ったもので、指先までびりびりと響く。これといった原因は特定できないらしいが、ずっとパソコンに向かって仕事をしているのもよくない気がして、担当編集者さんに有給休暇を申し出ると、「有休……? 会社員じゃ……ないのに……?」と真面目に返されたりして、大変遺憾であった。