「きれいにやせる」と話題のジムや「大人の学び」ができる教室、副業になりそうな趣味や、ひとり時間が充実しそうな休日の過ごし方――。いろいろ試したいけれど時間がつくれない「欲張りARIA」のために、ARIA編集部が編集費に頼らず、自腹を切って試してご報告します。今回は、新型コロナの早期収束を願い、写経に挑戦してみました。

 なかなか収束が見えない新型コロナ。特に東京では「きょうの新規患者数」の数字が芳しくないとニュースで聞かされる日が続き、自分で思っている以上に心が疲れているようです。

 手洗い、マスク着用、テレワーク、Zoom取材、リアルな飲み会の自粛――。見えないウイルスとの闘いのため、自分にできることは続けていますが、もうちょっと、なんていうか、積極的に攻撃できないものか。「悪霊、退散!」みたいな力が私にあればなあ……。

そうだ、写経に行こう!

 そんな妄想をしていて、ふと思い出したのが「写経」でした。写経って、何かお願い事をしながら黙々と書くんじゃなかったっけ?(あやふやな記憶)。書くことに集中すると、瞑想(めいそう)みたいに心が穏やかになりそうだし、これはいいかも!

 検索してみると都内で写経ができるお寺はいくつかあり、検討の結果、JR山手線・五反田駅から徒歩7分の「薬師寺東京別院」に行ってみることにしました。ご存じ、奈良の薬師寺の東京での拠点です。

 薬師寺といえば、天武天皇が皇后(後の持統天皇)の病気快復を祈り発願(ほつがん)された1300年の歴史を持つ寺(だそうです。薬師寺サイトから引用)。ご本尊は薬師如来。コロナの早期収束を願うにはうってつけではありませんか? そして、ステイホームの期間中に、NHKの歴史秘話ヒストリアを見た私は、修学旅行生相手の「青空説法」や「お写経勧進」で薬師寺を復興させた昭和の名僧・高田好胤(こういん)さんの話に感銘を受けていたという伏線もありました。問い合わせてみると、コロナ禍でしばらくお休みしていた「お写経」(薬師寺ではこう呼びます)ですが、6月半ばから再開されたということで、さっそくGO!

50年前から東京に「薬師寺」があった

 五反田駅から桜田通りのわきの細い傾斜のある道を上っていくと、駅前のにぎやかさとは対照的に静かな池田山の住宅街に入ります。すっきりとモダンな建物、ここが薬師寺東京別院です。

東京・五反田にある薬師寺東京別院。50年近くの歴史がある
東京・五反田にある薬師寺東京別院。50年近くの歴史がある
東京・五反田にある薬師寺東京別院。50年近くの歴史がある

 薬師寺で録事を務める村上定運(じょううん)さんによると、この建物は薬師寺管主の高田好胤師らが東京に来るときに定宿としていた香道家・故山本霞月さんのお宅でした。ここを譲り受けて改修し薬師寺の東京別院となり、以来50年近く、奈良の薬師寺と同じように、お写経勧進がここ東京でも行われているそうです。

 お写経ができるのは土日を含めた毎日で、予約も持ち物も不要。午前9時から午後5時まで門が開かれているので、その間ならできます。

 まず、申込用紙に記入します。(のちほど、記載した住所にはがきが届きました。お写経に3度行くと集印帳がもらえるしくみだそう!)。納経料は、般若心経の場合、2000円(1巻)。宗派にかかわらず広く書写されている経典で、私のように初めての場合はこちらがお薦めだそうです。

今回は初めての人にもぴったりの「般若心経」の写経を申し込んだ。納経料は2000円
今回は初めての人にもぴったりの「般若心経」の写経を申し込んだ。納経料は2000円
今回は初めての人にもぴったりの「般若心経」の写経を申し込んだ。納経料は2000円

 写経用紙を受け取りました。薄くて軽い上質の和紙です。「本来は、輪袈裟(わげさ、首にかける袈裟の一種)をお貸しするのですが、コロナ対策で今は行っていません。また、丁子(ちょうじ、別名クローブ)を1粒、口に含んで体の内側から清めていただくのですが、それも今は控えています」と村上さん。コロナ対策、いろいろと大変ですね。

いただいた用紙は薄くて軽い上質の和紙。受付にはコロナ対応のカーテンが
いただいた用紙は薄くて軽い上質の和紙。受付にはコロナ対応のカーテンが
いただいた用紙は薄くて軽い上質の和紙。受付にはコロナ対応のカーテンが

 いよいよ写経道場に向かいます。