音楽評論家、作詞家として50年以上のキャリアを持つ湯川れい子さん。国内のみならず世界中のスターやアーティストと親交を深めてきました。そんな湯川さんによる自筆のコラムです。 世界中のアーティストとの交流、昨今のエンターテインメントについて考えていること、さまざまな土地を旅して感じていることなどをつづってもらいます。

Women In Music Japanの初代受賞者に

 先日、オリンピック・イヤーに先がけて、音楽市場世界第2位の日本で、シンク・サミット(Sync Summit)と言うコンベンションが開かれました。

 今までにも、この国際会議はアメリカのロサンゼルス、ニューヨーク、シカゴ、ナッシュヴィル等で開かれており、協賛イベントとしては音楽見本市として知られるカンヌのMIDEM(ミデム)でもセッションを行っているほか、1985年に設立されたアメリカのWomen In Musicという団体とも連携した活動をしています。

 そして今回、初めて東京で開催されたシンク・サミットでは、うれしいことに私がWomen In Music Japanの「Women in Music Lifetime Legend Award」に選ばれて表彰されたのですが、このコンべンションが日本で行われたことも、日本人が選ばれたのも、これが初めてです。

「うれしいことにWomen In Music Japanの『Women in Music Lifetime Legend Award』に選ばれて表彰されました」
「うれしいことにWomen In Music Japanの『Women in Music Lifetime Legend Award』に選ばれて表彰されました」

 面白いのは、そのお知らせが来た10月23日は、ちょうどシンディ・ローパーが来日中の時で、思いもかけずシンディが英文のツイッターで、「おめでとう! 私のマネジャーで親友のリサ・バーバリスがWomen In Music 2019 にノミネートされたの!」と、喜んでツイートしていました。このWomen In Musicという賞は、アメリカのレコード業界誌ビルボード誌で、アメリカとラテン諸国の音楽業界で活躍する女性を選出。毎年写真入りで大きく紹介されていたので知っていました。

 それで私もリサにおめでとう! とメールを打つと同時に、この日本版みたいな賞を私ももらうことになったけれど、一体この賞がどんな意味を持つものなのか、アメリカのビルボード誌に載る賞と関係しているのかどうかなど、シンディの今回の最終公演日だった10月25日のオーチャードホールで、リサとシンディに会った時に、そのことを聞いてみたのです。

 うれしいことにリサは、シンク・サミットを主催するアメリカの業界人のこともよく知っていて、「日本で最初の受賞者だなんてすごいじゃない!」と喜んでくれて、「でもねえ、いまさらなぜ女性だけを選んで表彰するのよねえ。アメリカでも日本でも、まだそれだけ平等じゃないってことじゃないの!?」と、シンディと3人で大いに盛り上がったものでした。