音楽評論家、作詞家として50年以上のキャリアを持つ湯川れい子さん。国内のみならず世界中のスターやアーティストと親交を深めてきました。そんな湯川さんによる自筆のコラムがスタート!世界中のアーティストとの交流、昨今のエンターテインメントについて考えていること、さまざまな土地を旅して感じていることなどをつづってもらいます。今回は、前回に引き続き、カナダのアーティスト、コリー・ハートの復活劇と、日本での30年ぶりのコンサートの様子をリポートします。

子育てのために第一線から身を引いてから20年

 カナダが生んだロック系の人気シンガー・ソングライター、コリー・ハートが前回来日し、武道館で公演をしたのは1988年の12月でしたから、31年も前のこと。1999年に突然、子育てのために第一線から身を引いてしまったのが20年前。それ以来、今年の1月までは、カナダでもアルバム1枚すら出していなかったのですから、そんなコリーが、同じ80年代に日本でも人気があったイギリスのシンガー、ポール・ヤングと組んでコンサートを東京と大阪で行う……という話を聞いて、とても驚きました。

 コリーは2014年、自伝本の『チェイシング・ザ・サン』をカナダで出版していました。本はよく売れ、その折に一夜限りのコンサートをやったのですが、あっという間にチケットが完売。さらに2016年には30年間に及ぶ活動に対して、カナダの「栄誉の歩道」にコリーの名前が刻まれる式典があったり、その3カ月後の6月には前回書いたように私のパーティーに飛んで来てくれたりしました。でも……そのときはまだ本格的なカムバックの気配さえなかったんですよ!

 それが今年になって、20年ぶりのCD『ドリーミング・タイム・アゲイン』を発表。このミニ・アルバムがカナダで火が付いて、3月17日にはカナダのグラミー賞と言われるジュノー賞で、コリー・ハートは名誉の殿堂入りを果たしました。その授賞式の席上で、ニュージーランドとカナダ全土で、計16回の復帰コンサートをすると、コリーの口から発表されたのでした。

 会場として選ばれたのが、モントリオールでは前述の一夜限りのコンサートが行われた大規模な「ベル・センター・アリーナ」というアリーナですし、ケベックやエドモントンでは、3年前にポール・マッカートニーが待望のカナダ・ツアーを行ったのと同じ2万人以上が入るアリーナでした。大きな会場でのコンサートに、「大丈夫なの?」とわが目と耳を疑ってしまいました。日本でのコンサートも急きょ決まりはしたものの、心配で心配で。これは応援しなくっちゃ! と私は一路カナダまで飛んだわけです。

「コリーがカナダ全土などの大きな会場で復帰コンサートを開催すると知り、『大丈夫なの?』とわが目と耳を疑ってしまいました。これは応援しなくっちゃ! と私は一路カナダまで飛ぶことに」
「コリーがカナダ全土などの大きな会場で復帰コンサートを開催すると知り、『大丈夫なの?』とわが目と耳を疑ってしまいました。これは応援しなくっちゃ! と私は一路カナダまで飛ぶことに」