音楽評論家、作詞家として50年以上のキャリアを持つ湯川れい子さん。国内のみならず世界中のスターやアーティストと親交を深めてきました。そんな湯川さんによる自筆のコラムです。世界中のアーティストとの交流、昨今のエンターテインメントについて考えていること、さまざまな土地を旅して感じていることなどをつづってもらいます。

ステイホームの日々、フラストレーションの中で始めたのは…

 外出制限が緩和されたと言っても、まだコンサートは開かれず、行きたい海外にも行けず。2020年6月中旬の時点で、東京からは車であれ、飛行機であれ、簡単に移動することも許されない。こんな状況が続いて3カ月が過ぎようとしています。

 音楽の仕事を始めて今年で60年。これほど家にいる時間が強制的に増えたのは後にも先にも初体験で、別に体の具合が悪いわけでもないのに、最初の間は本当に戸惑いました。 Zoomでの会議なんて疲れるだけだし、それぞれにお料理や花を飾ってのスカイプ・パーティーで友人の誕生日を祝ったものの、お互いのテーブルのごちそうやケーキを分け合うことも出来なくて、フラストレーションだけが残りました。

 そんな中で、思いもかけない手応えがあったのが、夜ごとのツイッターに載せた「LADY BABAのお宝写真館」というシリーズの投稿です。

 最初は今までに1000冊はたまってしまった洋楽コンサート・プログラムをチェック。アルファベット順に並べ替えたり、ダブっているものを何らかの形でプレゼントしようかと考えたり。

 そんな作業の中で、これは自慢話になったら嫌だなぁ……と、おそるおそるツイッターで始めたこのシリーズが大評判で、そろそろ外出の機会も多そうになってきた今頃になって、毎日その準備に追われるようになってしまいました。

「LADY BABAのお宝写真館」記念すべき1枚目がこちら。1964年 若く小柄なサラ・ヴォーンと ニューヨーク市にて
「LADY BABAのお宝写真館」記念すべき1枚目がこちら。1964年 若く小柄なサラ・ヴォーンと ニューヨーク市にて