音楽評論家、作詞家として50年以上のキャリアを持つ湯川れい子さん。国内のみならず世界中のスターやアーティストと親交を深めてきました。そんな湯川さんによる自筆のコラムです。世界中のアーティストとの交流、昨今のエンターテインメントについて考えていること、さまざまな土地を旅して感じていることなどをつづってもらいます。

コロナ禍で多くの人が思い出した『イマジン』

 私がこのコラムを書いているのは、2020年5月14日。今日の新型コロナウイルス感染症対策専門家会議の結果、各都道府県が外出自粛をどこまでどう緩めるのかは、まだよく分かっておりません。

 それぞれの環境や立場で、考え方や対応は違うと思いますけれど、ノーベル医学生理学賞を受賞した山中伸弥先生が、コロナのためにわざわざ立ち上げた「山中伸弥による新型コロナウイルス情報発信」というホームページを熱心に読んでいる人間としては、簡単に来年の東京オリンピックが開催できるとはとても思えない状況にあります。

 むしろ今から長丁場になることを覚悟して、一人ひとりが用心深く生きていかなければ、いつまた大変なことになるかもしれないと考えています。

 そんな毎日の中で、最近取材の申し込みが多いのが、ジョン・レノンの他界からちょうど40年、世界の各地で、コロナへの不安や闘いの中で、ジョンが作った名曲『イマジン』が歌われているけれど、『イマジン』という楽曲についての解説をしてほしいとか、ジョンとヨーコさんが子育てから5年ぶりに音楽活動に復帰して、ジョンの生前最後の大ヒットとなった『ダブル・ファンタジー』というアルバムについて、改めてどう考えているのか教えてほしいとか、まだまだ深く理解されているとは思えないオノ・ヨーコという、世界で最も有名な日本人アーティストを特集したい。ついてはヨーコさんと親しかった私にインタビューの時間を作ってもらいたいといったお申し出です。

長年にわたる交流の中で、ヨーコさんから届いたたくさんのお手紙
長年にわたる交流の中で、ヨーコさんから届いたたくさんのお手紙
長年にわたる交流の中で、ヨーコさんから届いたたくさんのお手紙

 『イマジン』という歌はビートルズが解散した後、ヨーコさんと結婚したジョン・レノンが1971年9月に出したソロ・アルバムのタイトル曲で、アルバムは全米1位を記録。シングル曲は10月23日に全米チャートの20位に初登場。3週間後に3位まで昇っています。