40代、50代に、肌の変化や体力の衰えを感じる人は少なくありません。そんなときこそ、美容の習慣や体のケアを見直す時期です。40代半ばから重い更年期症状に悩まされ、心身との向き合い方を日々アップデートしている美容家・山本未奈子さん。山本さんが考える、アラフィフ世代にとって本当に必要な美容法とは? 全3回で紹介します。

(1)肌が急に変化する更年期 スキンケアより大切なこと3つ ←今回はココ
(2)40代からの肌投資は美容液に集中、他はプチプラOK
(3)山本未奈子 3度の入院、47歳更年期不調の向き合い方

 私が美容に目覚めたのは、第1子出産後の31歳のとき。ある日、鏡に映った自分の姿を見て「以前と明らかに顔立ちが変わった」とショックを受けたことがきっかけです。その後、米国ニューヨークの美容学校で皮膚科学や生物学、細胞学、化粧品化学や栄養学などを学び、外国人だからとバカにされたくなくて毎日夜中まで勉強しました。その甲斐あって首席で卒業、卒業後は教壇に立つ機会にも恵まれました。

 日本に帰国後、美容家として活動してきた私も今年47歳。2021年ごろから度重なる心身の不調に悩まされ、これまでにない体調の波を感じています。社交的で楽観的だった私が朝起きて「誰にも会いたくない」「未来に希望が持てない」とふさぎ込んでしまうほど、不調に悩まされるなんて……! 日によって波の大きさは変わりますが、「これが更年期障害か」と、美容家として自らの体を観察・実験しているような気持ちで体の変化と向き合っています。更年期は肌の調子にも影響します。この連載では私の経験も交えながら、肌などの悩みを改善し、ベストコンディションに近づける方法をお伝えしていきます。

山本未奈子 美容家・起業家
山本未奈子 美容家・起業家
V Holdings代表取締役Co-CEO。1975年生まれ。12歳から大学卒業まで英国で過ごす。日本で商社や証券会社に勤務した後渡米し、米国の美容技術を学ぶ。帰国後、2009年にMNC New Yorkを設立し、美容ブランド「SIMPLISSE/シンプリス」を発表。2020年には共同経営者の高橋くみさんとBe-A Japanを設立し、超吸収型サニタリーショーツブランド「Bé-A<ベア>」を立ち上げた。『本当に知りたかった 美肌の教科書』『35歳からの「もう太らない自分の作り方」』(講談社)など著書多数。※高橋さんの「高」ははしご高が正式表記

肌の変化が始まるのは35歳前後、40代以降も悩みは増える

 肌が最初にターニングポイントを迎えるのは、35歳前後といわれています。肌の水分量が少しずつ低下し、ターンオーバー(肌の細胞が一定の周期で生まれ変わる仕組み)の周期も乱れがちに。シワやシミも気になり始める年ごろです。

 この“お肌の曲がり角”は1度きりではなく、40代以降にも何度か訪れます。私も今まさに実感していて、肌に疲れが現れやすくなりました。加齢に伴いターンオーバーにかかる日数は延びていくので、放っておくと肌のくすみやクマが目立ってきます。

 更年期には、女性ホルモンであるエストロゲンが減り、体の老化スピードが加速します。更年期は「閉経前後のそれぞれ5年間」と定義され、個人差はありますが一般的に40代半ばから50代半ばまでの10年間に当たります。この時期は、正しい知識を持ってスキンケアをすることがいっそう大切になります。

 美しい肌を保つ秘訣が、高価なコスメを買いそろえたり、スキンケアに時間をかけたりすることだと私は考えていません。なぜなら、私は面倒なことが大の苦手。毎日シートマスクをしたり、スチーマーを当てたり、寝るときに手袋をしたりといった肌のお手入れは私には続きませんでした。美容学校に通ったのも、効率よく最短ルートで美肌を手に入れたいと思ったからです。そんな私がスキンケア以上に大切にしている3つの要素があります。