最近、疲れが長引く。肌や髪の毛など見た目の老化も実感するようになってきた。それは、体内のあちこちで老化促進物質「AGE」がたまり始めているからかもしれません。AGEは体でどんな悪さをするのか? 老化スピードに歯止めをかけるためにすぐに実践できる“老けない食事法”とは? AGE研究の第一人者、昭和大学医学部教授の山岸昌一さんに、3回にわたって伺います。

(1)老化の元凶「糖化」 女性ホルモンの働きも邪魔する ←今回はココ
(2)AGEでうつ症状も悪化 体に現れる糖化のサインは?
(3)AGEを抑える食べ方 揚げるより焼く、炒めるより蒸す

―― 40代50代になると、肌のたるみやシワといった見た目の老化はもちろんのこと、疲れを引きずるようになり、体の変化をひしひしと感じます。老化を促進する物質として注目されている「糖化」が気になります。老化と糖化がどう関わるのか、というところから教えてください。

山岸昌一さん(以下、敬称略) 同窓会で数十年ぶりに再会すると、同じ年齢でも「老けて見える人」「若く見える人」がいますよね。人の顔つきや風貌、そして体の内側も年齢とともに老化しますが、そのスピードには差があります。この差は一体どこからくるのか。「糖化」という現象が深く関わっています。

 ホットケーキを作るときに、砂糖(糖)と卵(たんぱく質)を合わせて加熱すると、こんがりしたきつね色になる。これを「メイラード反応」といい、トンカツや唐揚げなど高温調理したものほど盛んにメイラード反応が起こっています。実は、同様の反応が人間の体内でも起きているのです。

AGE研究の第一人者として知られる昭和大学医学部教授の山岸昌一さん
AGE研究の第一人者として知られる昭和大学医学部教授の山岸昌一さん