夫婦の3組に1組が離婚するといわれる時代。結婚に理由があるのと同様、離婚にもまた理由があります。離婚までの4つの「峠」を経験者に打ち明けてもらいます。

喜代子(仮名、50歳 会社員)
43歳で2度目の結婚、46歳で離婚。現在は1人暮らし。

 元夫との出会いは婚活サイトでした。30代半ばに1度目の離婚を経験し、気づけば42歳になっていました。彼は穏やかそうな人で、親しくなっても丁寧語で話すことに好印象を受けていました。読書や映画など共通の趣味があり、知り合って数カ月で交際が始まりました。

 私は将来的に結婚も考えていましたが、彼はあまり積極的に話を進めようとしません。「具体的に結婚を考えていないなら、お付き合いをやめたい」と伝えると、「事情があってすぐには結婚できないが、2年後くらいをめどに考えている」と言われ、そのときはどんな事情かも深く聞きませんでした。

 出会って1年ほどで同居を始め、しばらくは穏やかな生活でした。生活費は同じ額を出し合って賄うようにしていましたが、彼が趣味や外食にとてもお金をかけることがちょっと気になりました。「40代独身の男性で、ある程度の収入があるのだから当たり前のことかもしれない」と思っていました。

峠1:違和感を抱き始めたとき

借金があっても対処しない彼

突然発覚した彼の借金。「助けてあげたい」と思ってしまった

 ある日、帰ってきた彼の様子がおかしかったので、何があったのか聞いてみると「借金がある」と。しかも、どのくらいの借金なのか分からないというのです。

 根掘り葉掘り聞いてようやく、「最初は実家のリフォームのために借金し、その後他の借金も重なり、トータルでいくらになっているのか分からない」らしいことが分かりました。彼が以前言っていた「事情」とはこのことで、2年くらいで完済できるだろうと思っていたようです。

 そのとき、ふに落ちない点もありましたが、一旦は彼の言葉を信じました。理性的に考えれば、まだ結婚していなかったのですから、ここで別れればよかったのですが、母から結婚が女の幸せだと言われて育った私は、結婚への思いが強かったのかもしれません。悪意のある人には見えなかったし、何か助けてあげられないか、と思ってしまったのです。

 ところが、彼は自分では積極的な行動を取ろうとしません。結局、しびれを切らした私が弁護士を探し、彼の自己破産の手続きを取ることを決め、資料作成その他の気の遠くなるようなやりとりが始まりました。

 そこで分かったのが、彼がさまざまな高額商品の買い物をしていたことでした。新製品が出たら買い、古いものを売り、また新しいものを買うということを繰り返していて、自分でも把握しきれていないようでした。

 何度か私の実家にこのことを話そうかと思ったのですが、気の弱い母は参ってしまいかねません。父も大病で手術をしたばかりで、これ以上余計な心配をかけたくない気持ちもあり話せませんでした。

 彼の自己破産の手続きが完了した後、結婚することを決めました。

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