夫婦の3組に1組が離婚するといわれる時代。結婚に理由があるのと同様、離婚にもまた理由があります。離婚までの4つの「峠」を経験者に打ち明けてもらいます。

伸子(仮名、54歳 グラフィックデザイナー)
25歳で結婚、50歳で離婚。現在は母と2人暮らし。

 元夫との出会いはお見合いでした。相手はメーカーの研究開発部門で働く会社員。少し変わっているけど面白い人、という印象でした。ただ、30過ぎて実家暮らし、給料を家に入れていないと聞いて少し引っかかったのを覚えています。

 数回会った頃に結婚したいと告げられ、半年以内には婚約していました。「嫌いじゃないし夫婦になればうまくいくだろう」と楽観的な判断でした。

 挙式の直前に彼の九州転勤が決まり、新生活は築40年以上のオンボロ社宅で始まりました。そのうえ夫が先に引っ越してしばらく1人で暮らしていたため部屋の中は散らかり放題。こんなにだらしない人だったのかと驚きました。

 一緒に暮らしてみるとそりの合わない部分も多かったのですが、現実はこんなものだろうし、まだまだ努力の余地はあるはず。できる範囲で歩み寄り、家事を頑張りました。私は結婚を機に仕事を辞めていましたが、通信教育でデザインの勉強を始めました。

峠1:違和感を抱き始めたとき

夫が突然怒鳴ることが増えた

とくに子どもが欲しいわけでもないが不妊治療開始

 結婚後に体調を崩し、義母から「おめでたじゃないのか」と言われましたが妊娠ではなく、検査を機に不妊外来に通うことになりました。とくに子どもが欲しかったわけではなかったのですが、今から30年以上も前は、長男の嫁として婚家に対する配慮があったのです。

 治療が始まっても夫はほぼ他人ごと。治療の影響で情緒不安定になった私が愚痴をこぼすと、「そんな調子じゃ子どもが生まれても育児ノイローゼになるぞ」と返され、こんなことを言われてまで治療する意味があるのかと思いました。

 夫が研究職から営業職に異動し、慣れない環境で大変だったことも重なり、その頃からだんだん険悪な場面が増えてきました。夫が急に大声で怒鳴ったり、ドライブ中に急に怒りだして車を暴走させたりして怖い思いをすることもありました。