子どもの頃に経験した心地よい体験が仕事に生きる
全てを遮断したひとりの時間を大事にする一方で、この家に人を招き、おいしいものを一緒に食べ、笑い合い、楽しむ時間も島田さんはとても大切にしている。
プロはだしの料理の腕前とおもてなし上手。これは仕事仲間の間ではよく知られている、島田さんの一面だ。
「大勢の友達を家に招くことが好きなのは、父譲りかも」
島田さんの父親は昭和の高度成長期に活躍した商社マン。頻繁に部下や親戚を家に招いてはバーベキューをし、みんなにふるまっていたそう。「父はもっぱら焼き担当のもてなし役でした。池波正太郎が大好きで、おいしいものにはうるさかったんです」
「お肉は炭火で焼くとおいしいとか、夜になると大人はお酒を飲んで楽しくなるようだとか、子どもの頃に胸に刻まれた心地よい体験が、いまの自分をつくっている気がします。父はすでに他界しましたが、例えるなら植木等さんみたいな人。自分でひらめいた面白いことを人に話す前に、思い出して、ひとりで先に吹きだしちゃうような人でした(笑)」
ユーモアたっぷりの、チャーミングな人柄。それは島田さんにも通じている。
「大勢の人が集う際の居心地のよさや気分のよさは、チームで仕事をするうえでもとても大事。子どもの頃に心地よいと感じた出来事や光景がいまの仕事につながっていると感じますし、それは自分にとって、とても幸せなことです」
続きの記事はこちら
⇒50代からはギブ&テイクよりもギブ&ギブで生きていく
取材・文/砂塚美穂 写真/花井智子