来世は子だくさん母と決めた。だから、今生はこれで勘弁

 「私はいつもこんなふうに思っているんです。最高の伴侶(夫、妻)か、最高の親友か、すごく好きな仕事か、すごく好きな趣味。この4つのうち、どれかひとつ手に入ればもう十分で、人生勝ったも同然だ、って。幸いなことに、私はものすごく好きな仕事があり、最高な友人に恵まれている。これ以上を求めるのはもう強欲だな、と。

 「昔読んだ小説に『ブロンドとブルネットは同時に手に入れられない』という文章があったんです。どちらもキレイだけど、いっぺんに両方手に入れるのは無理。自分の中では、来世は子だくさん母さんと決めているので、今生はこれで勘弁してください、って。そんな気分なんですけどね(笑)

「私にはいま、ものすごく好きな仕事があり、最高な友人がいる。これ以上を求めるのは強欲かな」(仕事に没頭できる自宅の資料棚の前で)
「私にはいま、ものすごく好きな仕事があり、最高な友人がいる。これ以上を求めるのは強欲かな」(仕事に没頭できる自宅の資料棚の前で)

文/砂塚美穂 写真/花井智子


鈴木裕美
演出家
鈴木裕美 1982年、日本女子大学在学中に「自転車キンクリート」を結成。「自転車キンクリートSTORE」を含め、ほとんどの公演を演出。2011年、個人ユニット「鈴木製作所」を立ち上げ、小劇場から大劇場、ストレートプレイ、ミュージカル、ダンスと多種多様なジャンルで精力的に活動している。第35回紀伊國屋演劇賞個人賞をはじめ受賞歴多数。7月25日から、鈴木裕美さん演出の話題の舞台『フローズン・ ビーチ』(ケラリーノ・サンドロヴィッチ作)が全国公演スタート。公式サイト