友人から「終の棲家になるかもね」と言われて

 聞けば、夜な夜な料理好きの友人がやって来ては、この家で料理の腕を振るい、飲んで、食べていく。時にはお風呂に入っていく人あり、時には家主が仕事に出かけている間に、自分の友達を呼んで飲んでいる人あり。「もともと、人をたくさん招くことができる家にしたかったんです。できれば、この家に来た友達が、気兼ねせず、それぞれ好き勝手にふるまえるシステムになるともっといい」――そう思っていたら、本当に実現できたという。

このリビングで最大15人の役者やミュージシャンなど演劇仲間と飲み明かすことも。「広いダイニングテーブルでグラスを片手に朝まで語り合う人がいれば、ソファや床で寝落ちていく人も(笑)」
このリビングで最大15人の役者やミュージシャンなど演劇仲間と飲み明かすことも。「広いダイニングテーブルでグラスを片手に朝まで語り合う人がいれば、ソファや床で寝落ちていく人も(笑)」

 つい先日も、寿司握りが趣味という職人はだしの若い役者仲間が、近所の魚屋で新鮮な魚を調達し、ゲストの希望に応えてその場で握るという寿司バーが開催されたそう。「まさか、ダイニングテーブルが寿司カウンターに様変わりする日が来るとは、想定していなかったですね(笑)」

 「好きなものだけに囲まれた住まいをつくりたい」と考え始めたのは、50歳を過ぎてから。その思いをかなえるには小さな戸建てを建てるか、中古物件をリノベーションするかの二択だった。悩んだ末、「管理や維持がしやすい」という理由で、中古マンションのリノベーションを選択した。

 実は、理想のひとり暮らしを構想し始めた時、友人から「それは終の棲家になるかもしれないね」と言われたとか。